10月 18 2008

歯科医院の感染対策

Published by at 0:12:39 under 感染対策

我々は医者ですが、歯科はほとんど勉強していないため素人です。学生のときに自分の歯型を取る実習があったくらいです。

最近個人的に歯科のドクターがどのように感染対策をしておられるのか気になって、いろいろ調べてみることにしました。

もちろん医科のドクターにとっても感染対策は重要です。先日点滴でセラチア感染症による死亡者が出たというニュースを紹介しましたが、まだ感染対策が不十分な施設はあるかもしれません。しかし、私が医者になったときから比べるとかなり感染症対策は厳密になってきました。

さて、歯科のドクターの実情についてですが、いろいろ調べてみて出てきた論文にはちょっと驚きました。平成13年の静岡県の歯科衛生士に対するアンケート調査の報告です。少し古いのですが、ある歯科のドクターによると現状も同じようなものではないかというご意見でした(その先生はかなり厳密に滅菌など感染対策をされているかたです)。

中でも一番ショッキングなデータは

手袋を患者ごとに交換している割合・・・7.4

でした。もちろん手袋ごと手洗いをしているのでしょうが・・・基本的には手袋は患者ごとに交換するべきでしょう。

矯正歯科学会に問い合わせをしてみたところ、返事が返ってきました。

・・・・・・一般の歯科における診療用ゴム手袋はお一人の患者さんに対して、その都度先生は交換しています。一般の歯科では、患者さんの歯の周りから出血することもあり、肝炎やその他の病気を患者さんに感染させたり患者さんの病気が先生や先生を介して次の患者さんを感染させる危険性があるからです。しかし、矯正歯科ではほとんど出血しない治療を取り扱っており、本当は診療用ゴム手袋は、お一人の患者さんに対してその都度先生は交換すべきですが、交換されない先生がおられることも事実です。その理由は感染する、感染される危険性が低いからであり内科の先生が診療用ゴム手袋をされていないことが多いのと同様です・・・・・・

ということでした。学会として感染対策のマニュアルやガイドラインはあるかとさらにたずねたのですが、返答をいただけませんでした。

すべての患者に対して標準的に講じるべき感染対策を標準的予防策(スタンダードプリコーション)と呼びます。内容は、
(1)血液、体液、分泌物、または汚染物に接触する際、手袋(未滅菌)を着用する。
(2)粘膜、損傷のある皮膚に触れる直前に着用する。
(3)同一患者でも微生物が高濃度に存在する部位に接触後、他の部位へ処置を移動する時は交換する。
(4)処置ごとの手袋交換が原則。
(5)使用後はすぐに外し、直ちに手洗いを行う。
(6)手袋除去は手袋の汚染表面を素手で触れないよう注意する。

口腔内は粘膜ですから手袋が必要ですが、傷のない皮膚は素手でもかまわないということになります。

京都府歯科医師会にも問い合わせをしてみました。

・・・・・院内感染を含めた医療安全にいては、本会においても重要事項ととらえ、会員の先生方には適宜周知し、徹底をお願いしているところです・・・・・

実際の対策はどうなっているのかはよくわかりませんでしたが、重要事項と認識されているようです。

私も京都府医師会(歯科医師会とは別組織)の感染症対策講習会に参加を申し込んだのですが、満席で参加できませんでした。人気があるということは他のドクターもその必要性を感じておられるからだと思います。感染症対策も日進月歩ですから(だんだん厳しくなります)定期的に情報収集をしていかなければなりません。

2 responses so far

コメント(2) “歯科医院の感染対策”

  1. 久保on 21 10月 2008 at 20:59:00

    歯科の手袋。。。私、歯医者は、こどもの頃から苦手で、あまり気をつけてませんでしたね。

    おもしろい視点です。

  2. adminon 22 10月 2008 at 23:33:16

    私も歯科にかかる機会はあまりありませんでした。
    最近歯列矯正をしているので気になり始めました。
    感染症専門のドクターに比べると我々外科医も感染対策には知識が足りないと反省しています。常に勉強していないと「昔ながらのやり方」のまま院内感染を起こす可能性があります。

    歯科も、出血を伴う口腔外科などはかなり気をつけておられるようですが、一般歯科、矯正歯科、審美歯科と科によっては温度差がありそうです。

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