12月 09 2011

内視鏡外科学会

Published by at 18:14:10 under 学会活動

大阪国際会議場で開催された内視鏡外科学会に行ってきました。朝7時45分からのセッションで発表することになっていたので、早朝5時起きで京阪電車に揺られて行きました。朝の電車の寒いこと、寒いこと。ちょうど冷え込みがきつくなった朝のことで、節電のためか暖房が効かず、寒い思いをしました。

私は「ポートの細径化と低侵襲性」というワークショップで発表することになっていました。通常、私の施設では12mmのカメラポート、5mm×2ポート+12mm× 2ポートで大腸癌手術をしています。近年、さらなる低侵襲化を求めて、いくつかの方向性が模索されています。

そのひとつの流れとして、ポートの径をさらに細くしてより低侵襲な(患者さんにやさしい 、という言い方で表現されることが多いです)手術を目指せるか、というテーマでディスカッションするというのが今回のセッションの目的です。

ただ、低侵襲であるということの証明は意外と難しいのです。傷が小さくて整容性に優れているということは感覚的にわかると思いますが、12mmの傷と5mmの傷が3mmと5mmになることでどの程度全身に与える侵襲を軽減できるか、と考えてみると、やっぱり微妙な気がします。

また、その侵襲の程度を比較するとして、どういう項目を測定すれば比較できるか、というのも難しいところです。採血をして、炎症反応が何日継続するかとか、疼痛がどの程度であるかとか、、、炎症反応も、縫合不全でもない限り、通常の腹腔鏡手術においても数日でほぼ正常値に戻りますし、あまり差が出ないのではないかと思います。疼痛も術後鎮痛の方法が異なればまた違ってくるでしょう。硬膜外麻酔をするかどうか、経静脈的にフェンタニルを投与するか、またその濃度、組成をどう設定するかで違ってくるのではないかと思います。いろいろ条件をそろえて比較しなければ、客観的なデータが得られないのではないかということです。

また、ポートの径が細くなっても、結局標本摘出のために1箇所は創を広げることになります。結局その傷の大きさが一番大きく、最大の侵襲箇所となることには変わりありません。

最近、世の中には単孔式の手術も増えてきました。臍のところの1箇所の特殊なポートから数本の鉗子を入れられるようにして、傷ひとつで腹腔鏡の手術をしてしまうのです。低侵襲化のひとつの流れですが、この手術方法だと狭いところから何本も鉗子を入れて操作をするので、 手術はやりにくくなると言われています。

また、NOTES(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery)という新たな分野が誕生しています。胃、大腸、膣などから腹腔内にアクセスして行う手術で、体壁に創を残さずに手術を行う技術です。

結局は手術のQualityを維持しつつ(あるいは向上させつつ)低侵襲化できれば良いのでしょうが、その両立はなかなか難しいところです。

それにしてもどんどん新しい道具や手術方法が出現して、私自身、どこまでついていけるかなと思います。患者さんや、内視鏡外科医以外の人々が どこまでこういう我々のこだわりを理解し、期待しているのか、していないのか、我々は考えておく必要があります。

職人としてのこだわりと、研究者としての向上心と、医師としてどれだけ国民の健康に寄与するかというところのバランスを失わないようにしたいと考えています。

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