5月 28 2011

抗加齢医学会総会に参加して(1)大腸癌

Published by at 6:03:02 under アンチエイジング,学会活動

京都国際会館で開催された抗加齢医学会総会に参加してきました。来年は横浜で開催されるので、多分なかなか参加できないと思って頑張って行ってきました。

京都府立医科大学消化器内科の内藤裕二先生が運動と食事による大腸癌予防の可能性について発表されました。大腸癌のESD(内視鏡粘膜下層剥離術)を頑張っておられるなど、30年近く大腸癌の診療のために忙しく働いてきたのに、日本人の大腸癌による死亡率は下がるどころか増加傾向で、自分が一体何をしてきたのかとやや自虐的に離しておられました。多分話を面白くするためのレトリックだとは思いましたが、この視点は重要だと感じました。

私自身について考えてみると、外科医として目の前の患者さんの手術をすることも大事ですが、医師としては日本の大腸癌患者を減らすとか、大腸癌による死亡を減らすとかそういうことを考える視点を失ってはならないと思います。最先端の医療、高度な技術に邁進することは外科医の満足をもたらすかもしれませんが、社会全体の幸福につながるのかどうかということも頭の片隅に置いておく必要があります。

まず、大腸癌の二次予防として、日本の癌検診の非効率性についても言及されました。これはいつも私が実感していることで、全く同感でした。
日本は大腸癌により死亡リスクが高いので大腸癌検診は重要だと思われます。一般に大腸癌のスクリーニングとして便潜血反応が行われることが多いです。ただし、

10万人が受診の対象になっているとして、
14500人が受診し、
8%(1160人)が便潜血陽性となり、
そのうち60%(696人)が精密検査を受け(つまり残り464人は便潜血陽性を無視)、
そのうち3%(21人)に大腸癌が見つかって治療を受ける

(注:括弧内は私が計算したもの)

ということで、そもそも受診する人が少ない上に、便潜血陽性で引っかかっても精密検査を受けない人が4割もいるという指摘をされました。ただ、このデータの出所をちょっと聞き洩らしましたので詳細についてはわかりませんが、私の実感としても、検診受診率が低いということと要精密検査がでても放置する人が多いということについてはその通りだと思います。

次に一次予防についての話題になりました。
以前は大腸癌は食物繊維の不足や動物性脂肪の過剰摂取がリスクとして喧伝されてきましたが、最近はそれらの寄与についてはあまり根拠がないことが分かってきました。身体活動により大腸癌のリスクが下がり、過体重により大腸癌のリスクが上がることが明らかになっています。

つまり、適度な運動と適切な体重維持が大腸癌の予防になるということになるでしょう。

さらに抗酸化物質の摂取が効果的で、、、、と先生のご研究の話になっていきました(先生ご自身はアスタキサンチンに注目されています)。つまり、大腸癌は二次予防(検診による早期発見)のみならず、一次予防(癌になることじたいを予防する)ことが可能な癌と言えるでしょう。

特定の抗酸化物質をサプリメントなどで飲むことが良いかどうかはさておいて、厚生労働省が勧めている「1日に野菜350グラム、果物200グラム」を頑張って食べていくことは大事だと私は考えています。

ちなみにこれがランチョンセミナーで出たお弁当のメニューです。普通の学会だとエビフライとか魚のフライとか天ぷらとか揚げ物を含んだ幕の内弁当みたいなのが多いのですが、抗加齢医学会のお弁当は松花堂弁当で、量は少ないのですがなかなか品数も多くて美味しいです。ちなみに右のフードアイコンのAOUとは抗酸化価のことです。

foodicon2.jpg

残念ながらお弁当の写真を撮る前に食べてしまいました。
・・・しかし、あとでおなかがすいてさらにチョコレートケーキとアイスクリームを食べてしまい、せっかくのアンチエイジングなお弁当の効果を台無しにしてしまいました。健康な生活というのは難しいものです。

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