3月 27 2011

第6回かもがわ漢方研究会のご報告

Published by at 20:10:00 under 会の活動,漢方

昨日、第6回かもがわ漢方研究会を開催いたしました。

震災の影響で筑波大学の久永先生が来られなくなってしまったにもかかわらず、いつもとかわらないくらいの参加者数で、私はとても嬉しかったです。リピーターの先生方もたくさんおられました。

共催のツムラさんより、工場の被害状況について説明がありました。我々の研究会ではツムラ側から薬の宣伝をすることはないのでツムラからの挨拶というのもいつもはありません。今回は大建中湯など主力の薬剤を作っている茨城工場で生産に支障が出るほどの被害があったということで、長期処方を控えることでなんとかこの危機的状態を乗り切りたいという支店長からのお話でした。

薬学部の伊藤先生は、いつもは最初に講師の先生がご講演された処方について生薬の話をしてくださる立場なのですが、今回はラボでの研究内容やフィールドワークの内容などについてお話くださることで今回の研究会をもり立ててくださいました。

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伊藤先生はベトナムへ桂皮の現地調査になんども行かれていて、ハノイとホーチミンの桂皮の種類の違いなどちょっとマニアックな話も聞かせてくださいました。また、上等な桂皮は韓国と台湾のお金持ちのところに行ってしまうということも興味深い話でした。日本の場合は保険で薬価ががんじがらめになっているので、高級な材料を使うと漢方製剤の採算が合わないのだと思います。

また、桂皮の甘味と辛味の成分はcinnamaldehyde(ケイヒアルデヒド)だという実験結果、マウスの胃潰瘍モデルに対する抗潰瘍作用についての実験結果をご紹介いただきました。マウスの胃潰瘍モデルは水浸拘束、HCL経口投与、エタノール経口投与、インドメタシン皮下注で作成し、桂皮を混ぜた餌を食べさせたり、ケイヒアルデヒドそのものを与えたりしてその抗潰瘍作用をみておられました。

インドメタシン以外の潰瘍モデルで桂皮の抗潰瘍作用が示されました。NSAIDs潰瘍のみその成立機序が違うのかもしれません。また、ケイヒアルデヒドという化合物単体よりも、桂皮末混合の餌のほうが抗潰瘍差用が強いという結果でした。

その後、抑肝散と小青竜湯の試飲をしました。伊藤先生のところで保管されている生薬から煎じたものです。

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また、ディスカッションでは釣藤鈎(チョウトウコウ)は植物のトゲの部分だけを使用するが、葉や茎とはその成分が違うのかという質問がありました。伊藤先生のお話では、以前生薬学会でそういう発表があり、葉は成分が違うが茎はほぼトゲの部分と成分が同じだということがわかったというのです。それでも、その植物の「トゲ」の部分は一目瞭然釣藤鈎(チョウトウコウ)であるということがわかるので、そういう部分を用いるのが取扱い上便利で間違いがないからトゲの部分を使うのではないかという結論であったということでした。

一見、マニアックな話ではありますが、漢方の品質管理とかトレーサビリティーというのは重要な部分だと思います。とてもおもしろかったです。

またいつか震災が落ち着いたあかつきには久永先生にお越しいただいてご講演していただきたいと思います。それまで我々も頑張っていくつもりですので、皆様よろしくお願い致します。

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