8月 20 2008

福島県立大野病院事件

Published by at 20:34:06 under 医療過誤とは

日本の医療を考える上で無視できないのは福島県立大野病院事件です。福島県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた29歳の女性が死亡した事件で、産婦人科の医師が業務上過失致死と医師法違反の罪に問われたものです。本日福島地方裁判所で無罪判決が出ました。

29歳の女性が生まれたばかりのわが子を残して亡くなったという事実は本当に胸が締めつけられるようなつらい現実です。心よりご冥福をお祈りします。また、残されたご遺族のお気持ちを考えるといたたまれない思いがします。怒りの矛先が医師に向けられるのもやむをえないと思います。亡くなられた女性が命をかけて出産されたお子さんが健やかに成長されることを切に願います。

しかしながら、難しい症例と必死に闘ったにもかかわらず、自分の患者さんを助けることができなかった加藤医師の心中も察するに余りあります。止血しても止血してもとまらなかった出血を必死に止めようとしたのだろうと、私は一外科医としてその絶望的な状況の中の闘いを想像し、つらい気持ちになります。

患者さん側、医師側の双方にとってとても不幸な事件でした。民事訴訟になるのはやむを得ないかもしれませんが、このような場合に逮捕されて刑事告訴されてしまっては医師はリスクの高い症例を引き受けることができなくなります。

最善を尽くしても不幸な結果になることもあります。お産というのは昔から多くの女性が命がけで子どもを産んできたのです。医学が発達した現在でも、若く健康な女性がもっとも生命の危機にさらされる瞬間ではないでしょうか。そんな中、少しでも周産期の母児の死亡率を下げるよう産婦人科の医師も日々尽力されています。

日本産科婦人科学会からもこの判決に関して声明が出されています。

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