9月 16 2010

魚骨の思い出

Published by at 23:13:06 under 医者の生活,救急

今朝、アンチョビの小骨が上顎の粘膜に刺さるという恐ろしい目にあいました。カタクチイワシの骨なのでとても細くて短く、しかも上顎の粘膜で前歯のすぐ裏あたり(医者のくせに解剖学的な位置を医学的に正しく述べることができません)に刺さったので自分では全く見えません。私の配偶者が、マンモグラフィ読影用の大きなルーペで覗きながら四苦八苦しながら攝子でとってくれました。朝の忙しい時間に大事件でした。

数年前、何ヶ月も予約でいっぱいの有名な料理屋さんにやっと予約が取れて友人と出かけたのですが、ぐじの若狭焼を食べていて喉に骨が刺さってしまったことがあります。途中で何度もご飯を丸飲みするという素人のようなこともしてしまいました。本当はやってはいけないんですが、何とか取れないかとわらにもすがる思いでした。とてもとても貴重な機会だったのに、 喉に骨が刺さってからは全く食べた気がしませんでした。

友人も外科医であったため、この魚骨をどうしようかという話になり相談しました。最終的には耳鼻科でとってもらわなければなりませんが、もう夜で、救急外来に飛び込むしかありません。翌朝まで待てるか、待ったらやはり周囲の組織が腫れてきてあまりよくないのでは、、、

とりあえず舌圧子(お医者さんが喉を見るときに舌を押さえる木や金属のへら)と懐中電灯でのぞいて見てもらいました。 「見えるところに骨はないよ」

自覚的にもかなり奥の方でした。これは耳鼻科でファイバーで見てもらうべきか。

研究室に喉頭鏡があるかも、ということで探すとブタの実験用の喉頭鏡(滅菌済み)がありました。喉頭鏡は全身麻酔をかけるときに喉に人工呼吸用の管を通すためにその名のとおり喉頭を見るための道具です。さらに、鉗子まで出てきました。

「おえ」とはなりましたが、 さすがに喉頭鏡で覗くと魚骨を見ることができて、さらに鉗子でつまんで除去することもできました。友人に感謝です。なかなか立派な骨でした。

笑い事ではありません。

小腸まで到達した魚骨が小腸壁に突き刺さって穿孔性腹膜炎をきたすこともあります。外科医なら1回か2回はそのような症例を経験しているでしょう。

また、食道に刺さった魚骨をしばらく放置していたために周囲に膿瘍を形成し、大動脈に穿破して出血死という症例も聞いたことがあります。

最初は小さな穴ですが、時間とともに周囲の組織に炎症が波及していきます。

今日は朝から魚骨にたたられ、仕事に行く前から消耗してしまいました。でもやはり早く抜いてもらえてラッキーだったと思います。

No responses yet

Trackback URI | Comments RSS

コメントを残す