8月 13 2008

夜間の当直体制とオンコール

Published by at 15:16:41 under 医師の待遇,救急

市中の病院において、夜間の医師の当直体制がどのようになっているかはあまり知られていません。

数百床以上ある中核病院では、外科系、内科系、小児科、産婦人科、ICU、NICUなどそれぞれ1名プラスアルファくらいの医師で夜間や休日をカバーします。療養型の中・小規模の病院だと医師1名で診ることが多いです。もう少し救急を頑張っているところだと、内科系、外科系で各1名、プラス脳外科や整形外科の医師を加えるなど独自色を出している病院もあります。

常勤医の医師だけで毎日の当直をカバーできない病院も多く、非常勤医師がほとんどの当直時間帯をカバーしている病院もけっこうたくさんあります。そういうところで重宝されるのが「大学院生」です。研修医はバイト禁止になりましたが、大学院生は大学を卒業して数年間医師としてのキャリアを積んでいます。また、学費と生活費をそういう非常勤の仕事で稼がなければなりません。京都の救急を縁の下で支えているといっても過言ではないでしょう。

外科系で1名の医師が当直しているとしても、外科、整形外科、脳外科、泌尿器科、呼吸器外科 耳鼻咽喉科(頭頚部外科)、心臓血管外科、形成外科などに所属する医師が持ち回りで診ているとなると、専門外の外傷を診なければならないことになります。

私は一般外科医なので、皮下組織までの外傷や急な腹痛(虫垂炎、潰瘍の穿孔、大腸穿孔など開腹手術を要するもの)、肛門疾患などを専門としますが、それ以外の専門的なところはそれぞれの科の先生方のヘルプがないと厳しいこともあります。

のどに骨が刺さった→舌圧子や喉頭鏡で診て除去できればよいのですが、やはり耳鼻科のドクターの応援を必要とすることがあります。設備や道具が違います。餅は餅屋ということで。

転倒して頭をぶつけた→意識障害などがなければ帰宅いただくことが多いのですが・・・もちろんCTなどで頭蓋内に出血があったり、意識障害があるときには脳外科医にコンサルトします。困るのは酔っ払いです。一応経過観察入院をすすめます。

目に鉄粉などの異物が入った→ものの見え方に問題がなければ、眼洗浄の上、眼軟膏と眼帯でお帰りいただいていましたが、その際も眼科医の指示を仰いでからのほうが無難です。

肩が脱臼したかもしれない→恥ずかしながら肩関節のレントゲン画像を普段見慣れているわけではないので判断しかねて整形外科のドクターの指示を仰ぎ、固定して帰宅していただきました。

男性が自分で自分の性器を刃物で切りつけた→泌尿器科のドクターに相談したところ、「普通に」縫合しておいてくださいと指示され、「普通に」縫合させていただきました。

それぞれの科が当直医とは別に「オンコール」の当番医師を決めていてくれますから、専門外のことでも対応しやすくなります。もちろん、手術など専門的な処置が必要な場合は呼び出してきていただくことになります。

しかし、このようなオンコール体制が取れるのは医師数の多いそこそこの規模以上の病院だけですし、このオンコールの当番医師が「無給」であることが多いのです。もちろん病院に呼び出されて診療を行えばその時間に対しては時間外の給料が発生しますが、自宅で電話を受けてコンサルトに応じただけでは給料が発生しないところがほとんどです。

遠出もできない、お酒も飲めない、かかってきた電話(しかも私物の携帯電話)にすぐに出ないと怒られるような状況にあって、これが無償とはこれいかに?

独立行政法人・国立病院機構は4月から医師や看護師らが緊急手術などに備えて当番制で自宅待機する場合に手当を支給することにしたようですが、この流れは広がっていくのかどうか・・・少なくとも私の周囲ではまだオンコールに手当てが出るようになったという話は聞いておりません。

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