7月 15 2010

医師のワークライフバランスに関する調査結果

Published by at 0:03:13 under ワークライフバランス,研究活動

本日、今年3月に実施した京大病院医師のワークライフバランスに関する調査研究の集計について経済研究科の共同研究者たちとディスカッションをしてきました。

京大病院医師の全体的な傾向としては、診療環境や診療の質については概ね満足しており、個人的には向上心が強いが、労働時間が長すぎて過労傾向にあること、報酬については大いに不満を持っていること、また研修医は十分トレーニングを積む機会がないと感じていることなどが挙げられます。

概ねプロフェッショナルとしての誇りを持って働いている集団であると言えそうです。ただ、そのプロフェッショナルに対して十分な待遇が与えられていない可能性が示唆されます。

プロフェッショナルの語源は、“profess(宣誓する)”という言葉からきており、神に対して告白、宣誓した人や神の託宣を受けた人を指していました。つまり、最初は聖職者のみを指し、それが裁判官や医師に広がったそうです。「神に誓いを立てなければならないほど厳しい職業である」という意味で、高い倫理観と社会的規範を持たなければならない職種と言えそうです(最近ではアマチュアに対するプロ、という安易な言葉になってしまっていますが)。

医師が高い倫理観と社会的規範を維持するためには、継続的な教育とある程度の待遇(貧すれば鈍す)が必要なのではないかと感じています。

教育、というのは診療技術や最新の医学知識ももちろんですが、社会や経済、疫学、世の中の動向なども含めて知る必要があると思います。そうしなければ社会的規範の構築がかなり偏ったものになってしまいます。そもそも医師は忙しすぎて診療現場以外で社会とつながることが少ないです。

また、長時間勤務の制限による睡眠時間の確保、ある程度の報酬保証によるアルバイト減も必要です。アルバイトに行けばその分労働時間が増えますし、留守中の研修医の指導がおろそかになります。医療安全上も大いに問題だと思います。
(私の大学病院での手取り報酬が月額12-15万円くらいです。週4日勤務で当直や時間外をつけていないことと、部分休業により勤務時間を1日あたり1時間15分短縮していることもありますが、それにしても生活できる金額ではありません・・・そもそも子どもふたりの保育料が月額11万円ですから)

大学病院は特殊な世界なので、一般的な話をするために今後このような調査研究を広く行おうと思っています。私は京都府医師会勤務医部会幹事をおおせつかったので、そういう場でも展開してみようかな、と考えています。

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