2月 15 2010

看護のプロ

Published by at 22:33:07 under 未分類

医師に関して医師法があるように、看護師に対しても保健師助産師看護師法という法律があります。

第5条 この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。

つまり、看護師の業務は
①傷病者および産褥婦に対する療養上の世話
②診療の補助
ということになります。

放射線技師、検査技師などは診療の一部である検査を専門的に担っていますが、療養上の世話をするわけではありません。

ナース・プラクティショナー(Nurse Practitioner)とは、日本では医師にしか認められていないレベルの医療行為が行える米国のコメディカル資格のことです。問診や検査の依頼、処方等を行うことが認められています。

医師不足が問題化する中、日本でもナース・プラクティショナーを導入しようとする声が高まってきました。上に挙げた看護師の業務のうち②に特化したナース、ということになるのでしょうか。

看護師さんたちは、①と②のどちらに重きを置いて看護師という職を目指したのでしょうか。人によって違うのでしょうか。

②に重きを置くなら前述したように放射線・検査技師もその専門家です。あえて看護師を目指したということは①の療養上の世話ということに看護師のアイデンティティを求めたのだろうと推察します。

一方で、「誰にでもできそうな行為における専門性」に対する評価は不当に低くなりがちです。家事や育児もそうですが、看護もそうです(昔から女性がその多くを担ってきた仕事です)。突き詰めれば奥の深い業務だと思うのですが。

日本でナース・プラクティショナーを導入するとすれば、注意しなければならないのは医師の補助的役割として「便利屋のように使われるだけ」にならないような存在意義を付与できるかということです。

現状の看護師は看護のプロであり、その領域は医師の業務範囲ではないので①の療養上の世話については医師よりも詳しく、医師が持たない技術を発揮できます。
しかし診療補助により特化したナース・プラクティショナーの場合は①の療養上の世話という業務を減らして診療業務に当たることになります。「医師の補助」という色合いが強くなってしまうのではないかと危惧します。

実は、私は女性医師がナース・プラクティショナー化するのではないかということも危惧しています。医師免許を持っているのですから、検査のオーダーや薬の処方、カルテの記載、診断書記載、書類の作成、もちろん診断や処置なども可能です。しかし、あくまでも他の医師たちが決めた治療方針に従う補助的な役割になってしまうのではないかと思っています。

仕事はある程度自律性がないと(特に専門職は)やりがいを見出しにくいのではないでしょうか。看護のプロである看護師が、今後何を目指していこうとしているのか注目したいと思います。

2 responses so far

コメント(2) “看護のプロ”

  1. tomoko t prevoston 15 2月 2010 at 23:17:06

    これに関して、以前NHKのプロデューサーをしていた女性の方からインタビューを受けた事があります。日本人女性がナースプラクティショナーとしてアメリカの東海岸で活躍しており、外科学会がその女性に多大に影響を受けている、というお話を背景にしたインタビューでした。やはり日本はそのような方向に行くのでしょうか?

    アメリカの臨床現場で、ナースプラクティショナーと実際に一緒に働いた身として、女医が同様の立場になってしまうという事はあり得ないと思います(理由は書ききれない位、あります。)ただ、日本の外科学会の方々は、ナースプラクティショナーとPA(Physician Assistant)の区別が良く分かっていないのではないか、と危惧しました。

    根本的に、医師の研修制度が日米で非常に違っているので、そこに体よくナースプラクティショナーだけを持ち込もうとしても機能しない可能性の方が非常に高いと思いますし、そんな事をしても日本の医師不足の解決にはならないと思います。

  2. adminon 16 2月 2010 at 12:45:22

    現実に体験された方の意見は貴重ですね。アメリカに行ったこともない私は想像するのみですから。一度ナースプラクティショナーのなんたるかをご教授ください。
    ただ、今の私の働き方からすると一人前の医師ではないような感じがしています。女性医師のみが時短やオンコール、当直免除のような勤務時間短縮の方向へ向くと、なかなか責任を持って患者さんを担当することができなくなります。常に患者の状況を把握する男性医師がいて、それを横からサポートする形、になってしまうのでどうも自律性を維持しにくいように思います。

Trackback URI | Comments RSS

コメントを残す