8月 18 2010

キャリアカウンセリング(産業医研修会)

Published by at 23:22:29 under 女性医師のキャリア,産業医

今日は午後から産業医講習会を受講してきました。産業医資格更新のための研修会なので、基本的には産業医資格を持っている人ばかりです。

キャリアカウンセリングの視点からメンタルヘルスを考える、というテーマでした。本当は午後からは休養に当てようかと思うくらい疲れていたのですが、テーマも面白そうだったので頑張って参加してきました。

今の私自身に大変有益な話で、結果的に頑張って参加してきた甲斐があったと思っています。

自分が思い描いていたキャリアの将来像が、予期せぬ環境変化や状況変化により短期間に変化してしまうキャリアショックに対応できずに思い悩み、就労意欲をなくしたり、ひどいときにはうつになったり退職したりしてしまうことがあるということです。

もちろん人生には様々な転機が次々に起こってくるので、これを乗り越える努力や工夫を通じてキャリアが形成され、開発される・・・と考えれば、例えば女性医師が出産や育児などのライフイベントに伴い勤務を継続するためにいろいろと奮闘すること自体、長い目で見ればキャリア形成の重要なプロセスということになります。ただ適応しきれずにひとりで悩むことは十分に考えられますし、そこでキャリアカウンセリングの必要性があるのだと感じました。

また、役職が上がるにつれ、業務遂行能力に加えて対人関係能力、マネジメント能力などが問われることも多くなり、これらの能力に自信がないとストレスを感じるようになる ということです。30代後半から40代前半の人が大体この壁にぶつかって悩むケースが多いとか。

医師で言えば実際の診療技術や知識に加えて患者さんや周囲の医師,コメディカルとのコミュニケーション能力、さらに組織のマネジメント能力も問われるようになっていく、ということでしょうか。

さらに、外的キャリア(経歴・役職・年収・肩書きなど外から見えるもの)と内的キャリア(価値観や人生観といった心理的側面)を整理して将来設計をすることをキャリアデザインと呼びます。これらのバランス・調和が重要です。外的キャリアを追求しすぎても内的キャリアとのギャップが大きくなりすぎて満足できないし、内的キャリアを追求しすぎてもマニアックすぎて「職業」として成り立たなくなる、という難しいところです。

ここで、自分がどのようなライフスタイルを望むかというチェックリストをやってみました。33の項目(華やかな生活、優雅な生活、健康な生活・・・などの項目)のうち自分が重要視する項目にチェックを入れ、さらにその中から3つを選ぶというものでした。

私が選んだのは「安定した生活」「優雅な生活」「健康な生活」ということで、外科医の生活とは全く対局にあるものばかりで実のところ少々ショックを受けました。

職業を選択するときに(我々医師で言えば診療科を選択するときにも)、こういう自分の本心をのぞいてみることは重要かもしれません。職業を選択する時点ではまだ人生経験も少なく、自分の能力や適性、どのような生き方を望むかについてよくわかっていないことが多いのです。

職業人として中堅どころになってくるとキャリアアンカーがはっきりしてくるのだそうです。キャリアアンカーとは,個人が選択を迫られたときに、その人が最も放棄したがらない欲求、価値観、能力(才能)で、長期的な職業生活において拠り所になるものです。キャリアアンカーをしっかり認識しておくとキャリアに関する意思決定がしやすくなります。キャリアアンカーもいろいろ考えられるでしょうが、研修会で提示されたのは

専門・職務別能力
経営管理能力
自律・独立
保障・安定
起業家的創造性
奉仕・社会貢献
純粋挑戦
生活様式(ワークライフバランス)

です。なるほど、どこに価値をおくかでどのような働き方をするか変わってくるかは当たり前のことですね。

キャリアカウンセリングは予期しない出来事や予期しない好機、仕事以外に考慮すべきほかの分野などを考慮しながら螺旋的に進むものであるということ、また最終的にどうなるかはわからないけれど予測不可能なことを受け入れながら流動的にキャリアを形成していき、人生の役割のそれぞれが組み合わさって意味のある全体が出来上がるという生涯キャリア発達理論(L・サニー・ハンセン)を紹介されて研修会は終わりました。

まとめれば
・キャリアは直線的に形成されるものではなく、様々な転換点を経て紡ぎあげていくものである
・自分の心の声(何に価値をおくか)を常に自問自答すべきである。
・キャリア形成の過程で悩むことがあればキャリアカウンセリングなどにより適材適所の働き場所・働き方を模索する必要がある
・人生における様々な役割を統合し、キャリアを形成していく(仕事だけが重要なのではない)
というのが私の理解です。

なかなか有意義な話でした。漠然と自分で考えていたことが明瞭化したという意味においてです。まとめてしまえば簡単なのですが、自分ではなかなか考えをまとめきれないし、「専門家の言葉」というのも重要だと感じました。

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