5月 18 2009

医者がインフルエンザにかかるとき

Published by at 23:03:13 under 医師不足,医者の生活,感染対策

新型インフルエンザの国内発生がニュースになっています。

正直言って、時間の問題だと思っていました。なぜなら、だれもゴールデンウィーク中の自宅待機勧告を出さなかったのですから(首相自らヨーロッパにお出かけでした)。ここまで拡大してしまってから自宅待機だとか言っても遅すぎる感があります。ゴールデンウィーク中に海外でウィルスをもらってきた人が検疫をすり抜けて国内に持ち込んだ、それがちょうど拡大しつつあるタイミングにぴったりです。

もっとも、暖かくなってきたのでそう爆発的には増えないだろうと思っていましたので、感染力は予想以上と言わざるをえません。しかし、あの一見ものものしい空港などでの検疫で水際で防げると本気で考えている専門家はだれもいなかったはずです。

それにしても、舛添要一厚生労働相は6日、新型インフルエンザ発生国への渡航歴がないにもかかわらず、発熱などした人が病院で診察を断られたケースが相次いでいることについて『医師法違反だ。医者の社会的義務として対応してもらいたい』と新型インフルエンザ対策に関する厚生労働省内の会議で言っていました。

医者がインフルエンザにかかるリスク、罹患した場合の補償を全く無視した話だったことがよくわかります。

最近でもそうです。(クローズアップ2009:新型インフル 発熱対応「限界寸前」)

16日にあった神戸市医師会の会議では新型インフル患者を診察した開業医が、他の患者に感染を拡大させる可能性があるとして厚生労働省に休業を“指導”されたことが報告され、開業医から不満が噴出した。こうしたケースについて厚労省は、医療の萎縮(いしゅく)を招かないよう近く対応の手引きを示すことにしており「患者と医師の双方が、(効果のある)不織布マスクを着けていれば濃厚接触者にならないのではないか」と話す。

一方、日本医師会は、発熱外来で働く医師が新型インフルエンザに感染した場合の休業補償を求めているが、厚労省は「医師確保のため契約でいろいろな対応をしている自治体もあるが、国としての休業補償は難しい」と説明する。

神戸、大阪と来たら京都にインフルエンザが入洛するのも時間の問題でしょう。京都でも、もともと季節性のインフルエンザが結構流行っています。変な年だなあと医師たちは以前から感じていたのです。

医者だってインフルエンザにかかります。去年の秋に普通のインフルエンザワクチンは接種していますが、もはやそれも効力が切れる頃ですし、ましてや新型インフルンザに免疫がないのも医者も同じです。不規則な生活を強いられてインフルエンザウィルスに曝露され続ければ、一般人よりもはるかに罹患のリスクは高いと言えましょう、

現時点ではそういう視点が欠けているように思えるので、あえてここで指摘しておきます。

5 responses so far

コメント(5) “医者がインフルエンザにかかるとき”

  1. tomoko t prevoston 19 5月 2009 at 21:17:02

    医師の罹患率が必然的に高くなるのは、仰る通りだと思います。
    医療従事者で、発熱外来で働く人は、スクラブと下履きなどを全てディスボーザブルにして、聴診器、ペンなどはその部屋から持ち出し禁止にするべきです。また、白衣やその他の着衣はすべてその部屋から一般外来のエリアに出ないよう、専用のロッカーなどを行政側から整備するべきだと思います。
    その他、いつも不思議に思うのが手洗い励行の一般の方へ向けた働きが少ない事です。アメリカでは、どの部屋の外にも壁付けのアルコール消毒器があり、また待合室や受付などあらゆる所で感染予防を呼びかける工夫がされています。日本は、経費の為かアルコール消毒のボトルは診察室の中だけで、医師か医療従事者しか利用出来なくなっています。マスクをかけていても、そのマスクに感染者の飛沫があった後で、マスクを手で触ると折角マスクをしていても感染予防にはなりません。巷では、マスクの売り切れなどが続出していますが、単純な石けんはまだまだ品数が豊富なようですね・・・
    しかし、根本的な問題は、誰も新型インフルエンザの事を理解していないので、行政側が不必要に民間の不安を煽っているような気がします。

  2. adminon 20 5月 2009 at 10:33:43

    マスクは軒並み売り切れです。
    みんなどうするんでしょう?何日も同じマスクを使うのでしょうか?
    手指消毒用のジェルも売り切れでした。
    石鹸はまだ買えたので昨日購入しておきました。

    いろいろなイベントが延期・中止を余儀なくされています。30日のシンポジウムが少々心配です。

    インフルエンザ関連について行政は後手後手だと思います。現場の声を無視しているようにしか思えません。厚生労働大臣や官房長官だって素人なんですから、もっと専門家(さらに言えば現場の医師の声)からレクチャーを受けるべきです。

  3. ucsdon 24 5月 2009 at 4:52:54

    メキシコとの国境に近い町に住んでおりますが、平穏です。
    神戸高校(愛する母校!)が、まるでウィルス発生地のように報道されていて、悲しいです。
    東京は、渡航歴のない人にはPCRをやっていなかった(今も?)そうなので、
    感染の実態と数字は、既に乖離していると思うのですが。
    大体、東京の初期の検査は、検体が足りないだの、再検査したら出たとか出ないとか・・・PCRがワークしていないんじゃないの?と邪推しておりました。
    そもそもインフルエンザは、日本で多い時には年間一万人以上の死者を出す疾患なので、「心配ない」とは言いませんが、いったい何がそんなに問題なのでしょう?レクチャーして欲しいですよね。
    そろそろ、致死率とか高病原性への変異のし易さとか、そういう感染症、ウィルス学的なコメントが出てもよいと思います。
    tomoko先生の「行政側が不必要に民間の不安を煽っている」というご指摘、
    まさにその通りだと思います。

  4. adminon 25 5月 2009 at 17:16:58

    今の京都でも、基本的に簡易キットでA型陽性の症例に限ってPCRをすることになっています。
    ご存じのように簡易キットでA-B-でもPCRで陽性に出ることはあるのですが、限られた医療材料・人的資源ということで仕方がないのかもしれません。

    アメリカやメキシコではどれくらいPCRまわしてるのでしょうか?もう数が多すぎて全例やっていない?それとも頑張って全例原則やっている?

  5. ucsdon 31 5月 2009 at 10:12:25

    アメリカは日本と同様、A型陽性症例にPCRをやっているそうです。
    メキシコは、麻薬関連で治安が悪化しているらしく、
    それどころではないという返事でした。どう対応しているのか不明です。

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