5月 07 2009

インフルエンザ考

Published by at 16:50:43 under 感染対策

ここ数日、新型インフルエンザが疑われる患者を病院が「受診拒否」しているという報道が続いています。

 医師はいついかなる時でも患者の要求に答えるべきであるという「応召義務」はいつか必ず破綻する(24時間いつでも?帰宅してからも拘束されるのか?帰宅後の飲酒は?前日の当直で一睡もできなかった場合の診療行為は?など)と今までも述べてきましたが、今回の件も同じような側面があります。

 今はまだ新型インフルエンザの感染者は国内では確認されていませんが、今後感染者が確認されてどんどん増加したり、医師や看護婦が感染したりすることで医療機関が麻痺してしまう可能性もあります。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090505ddm001040003000c.html
「新型インフルエンザへの警戒が強まる中、東京都内の病院で、発熱などの症状がある患者が診察を拒否される例が相次いでいることが分かった。都によると、2日朝~4日朝だけで計63件に上る。新型への感染を恐れたためとみられるが、感染者が出た国への渡航歴などがない患者ばかりで、診察拒否は医師法違反の可能性がある。大学病院が拒否したケースもあり、過剰反応する医療機関の姿勢が問われそうだ。」

医師法違反と言われても…

大学病院には感染症以外に多くの患者がいます。外来患者も、入院患者も。老人や小児、妊婦、様々な疾患や抗がん剤などの投与により免疫力の低下した人など様々な患者がいます。

特別に新型インフルエンザに対応する準備をしている、あるいは行政に指定されている病院ならともかく、あらゆる医療機関で新型インフルエンザ疑いの患者を診察する必要はないのではないでしょうか。少なくとも現時点では。

正直なところ医療機関側も情報不足なのだと思います。日々、刻一刻と新しい情報が入ってきますし、そもそも新型インフルエンザなんて日本の医者はほとんど経験したことのない状況です。医者自身もどうやって対応すればよいのやら暗中模索状態かもしれません。みんながみんな感染症の専門家ではないのです。

私も京都府医師会のメーリングリストなどから日々情報を得ていますが、確かに季節性の普通のインフルエンザもパラパラと見つかっているようです。

一番問診で確認すべきことは「渡航歴」のようです。今のところ、メキシコ、アメリカ本土、カナダ以外の渡航歴であれば発熱があっても通常通り扱うべしということになっています。

しかし、万が一新型インフルエンザ患者と診断された場合、最初に診察した医師の感染防御が不十分であった場合は高危険接触者(濃厚接触)とみなされ、、予防投薬、健康観察等の措置が取られ、同じ時間帯にその患者のそばにいた患者も接触者として保健所から接触者のリストを提出するよう要請される可能性があります。

一般の医師がリスクを避けたくなる気持ちもわからなくもないです。風評被害も出そうですし・・・

しかしこのゴールデンウィークの期間、病気の家族を受診させる機会のあった私としては複雑な気分です。やはり診療拒否をされたら辛い気分になるだろうな、と・・・

現場の混乱を責めるばかりではなく、行政も正しい情報と、実際にどうすればよいのかという医療機関向け・一般向けのマニュアルを徹底的に広めるべきだと思います。テレビ番組がそれぞれ勝手に特集を組んでいますが、政府がきちんと広報番組を作ってこの通りに行動せよ、と指導してほしいものです。

たとえば、このゴールデンウィークの連休に海外に遊びに行った人たちは新型インフルエンザに感染するかもしれないというリスクを冒して出かけたわけです。日本政府や厚生労働省はメキシコの大統領のように自宅待機を呼びかけてもよかったはずです。少なくとも渡航自粛を呼びかけるくらいのことは。

まあ、日本の首相も新型インフルエンザ患者が国内でいつ見つかるかという微妙な時期に、ヨーロッパにお出かけだったくらいです(ヨーロッパでは国によっては新型インフルエンザの患者が出ています)。トップが危機管理できていないのに、現場にだけ厳しい状況を強いるのもいかがなものかと思います。

2 responses so far

コメント(2) “インフルエンザ考”

  1. EXILEon 08 5月 2009 at 16:47:59

    渡仏はなくなってしまいましたねえ
    残念です

  2. 都筑てんがon 09 5月 2009 at 4:33:59

    「諸君、担当医は、院長命に背き患者の診察を放棄した。受け入れ態勢がないから医療は出来んと言って患者の診察を勝手に断りよった。これが病院か。病院は受け入れ態勢がなくても受け入れをしなければならないのだ。検査キットがない、やれタミフルがない、リレンザがないなどは診察を放棄する理由にならぬ。

    (中略)

    担当医には応召義務があるということを忘れちゃいかん。病院は公立である。市長が守って下さる・・・」

    以下、訓示は一時間以上も続いたため、当直明け通常勤務後の残業の連続で、抵抗力の落ちている医師がウイルスに罹り、病気で抵抗力の落ちた入院患者および外来患者に伝染する事態となった。

    …。
    ……。
    ………。

    供給制限のために、検査キット、リレンザ、タミフルといった物資が足りなくなっていたり、隔離室(一般の病室と別ルートの空調が必要)も確保出来ていない現在の一般病院では、患者を受け入れられなくても仕方がないと思います。

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