12月 02 2008

いわゆる割りばし事件

Published by at 23:59:48 under 医療過誤とは

1999年、4歳の保育園児がのどに割りばしを刺して死亡した事故を巡り、業務上過失致死罪に問われ、東京高裁で無罪が言い渡された医師について、検察当局は上告を断念する方針だそうです。

上告期限は4日ですが、医師の無罪が確定する見通しです。

東京地裁判決では、医師の過失を認定する一方、「死亡との因果関係がない」と無罪を言い渡し、高裁は先月20日CT検査などをすべき注意義務があったとはいえないと過失も否定しています。
1999年と言えば私が医者になった年です。この事件はインパクトのある事件でした。頭蓋底から割りばしのようなものが脳に刺さったとしてもCTでも見つけにくいでしょうし、たとえ発見できても救命は難しいだろうと言われていました。

外科医として子どもの外傷を診ることがありますが、特に頭部打撲の症例において神経学的異常がないかを診るのはとても緊張します。小児科医でも小児外科医でもないので子どもの正常な状態を把握するのは難しいからです。月例や年齢によっても変わりますし。また、はっきり症状を言いませんし、嫌がって暴れたりしてきちんと診察させてくれないこともあります。

4歳の男児のどの奥に何かが刺さったかどうかなど、「刺さったかもしれない」という前情報がない限りなかなか診るところではありません。刺さったものが突き出ていれば別ですが・・・

そもそも小児科の先生のように子どもを上手に診ることができません。

子どもを亡くした親からすると怒りや悲しみの矛先をどこかに向けたい気持ちは理解できます。しかし、一人の医師の医師生命を奪いかねない刑事告訴はそれとは別個に考えるべきでしょう。

1歳以降の子どもの死亡原因の第1位は不慮の事故です。健康な子どもでも一瞬の油断で死んでしまうことがあるわけで、両親を含めて社会全体が子どもに安全な環境づくりをしていく必要があります。

2 responses so far

コメント(2) “いわゆる割りばし事件”

  1. EXILEon 03 12月 2008 at 11:39:59

    CTを撮っていなかったから、とかなんとかで有罪になるのであれば、すべての疾患についてCTを撮れ、だとかおかしな方向に向かうのではないですかね。訴えられないためにとりあえずCT,みたいな。
    人間は最終的には死ぬから、すべての疾患を診察する時に死ぬことを想定しないといけない。しかし、想定しておらず、死亡、そして告訴、みたいになってしまうのではないでしょうか。

  2. adminon 03 12月 2008 at 17:06:00

    CTは単純X線写真に比べると被曝量がとても多いので、必要最低限にすべきなのですが、訴訟リスクを考えるととらざるを得ませんね。

    でも、子どもの場合、おとなしくCTの機械に入っていてくれないこともあるので、鎮静剤のようなものが必要になることもあり、それはそれでリスクです。

    以前小児科の先生がCT室で鎮静剤の影響で呼吸が止まった子どもに慌ててマウストゥーマウスで人工呼吸をしているところに出くわしたことがあります。まあめったにないことだと思いますけど。

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