Archive for 5月, 2012

5月 13 2012

第10回かもがわ漢方研究会

Published by under 会の活動,漢方

昨日、京都大学薬学部本館1Fマルチメディア講義室で第10回かもがわ漢方研究会を開催いたしました。第10回にして、過去最高の70人超の参加となりました。いきなり前回の倍?いつもの部屋が手狭に感じられました。

img_1062.jpg

前半のご講演は医療法人佐々木皮膚科 院長・理事長の佐々木豪先生で、種々の皮膚疾患の治療経過などから多数の内臓疾患を診断しうるというデルマトロームという概念のお話でした。

皮膚表面の変化は体内の状況の敏感なマーカーになりうる場合があり、その変化から内臓疾患を推しはかることが可能なのだそうです。たとえば糖尿病においては皮膚における微小循環障害が糖尿病の先行兆候として血液データの変化よりも先に現れることがあるため、日常の診療でもそのような兆候を見逃さず、基礎疾患である糖尿病を見つけることができるというお話でした。

そのほか、悪性腫瘍や膠原病、肝機能障害なども皮膚の変化や皮膚疾患の治療反応の遅さなどから発見できることもあるという興味深い症例をいくつも提示されました。

私は外科医なので、たいていすでに内科などで診断のついた患者さんを診ることが多く、このような謎解きの過程をあまり日常経験しません。それでも、普通の経過と何か違うときは、「背景に何かあるのでは」という視点を忘れないようにしようと思いました。

ただ、漢方のお話が少なかったので漢方のお話を特に聞きたかった参加者の皆さんにはちょっと欲求不満であったかもしれません。いかがでしたでしょうか。

後半は恒例の薬草園見学でした。人数があまりにも多くなったので、3グループに分かれての見学になりました。

yakusou1.jpg

軽妙な語り口の伊藤先生のお話も絶好調です。芍薬と牡丹の違いとか、ミントの葉の香りが表と裏で違うとか、ややマニアック(?)かつ知っていると楽しいお話を今回もたくさん聞くことができました。

yakusou2.jpg

山椒の記念植樹です。京大病院は今年の3月初めて漢方薬が院内採用になりました。大建中湯と芍薬甘草湯と抑肝散の3処方だけですが。外科医としては大建中湯は重要です。今年の2月までは、漢方を処方するのにいちいち、漢方でなければならない理由とか、自分の印鑑のみならず診療科長の印鑑とか必須で、漢方を処方するのがたいへん面倒でした。しかも在庫が少ないとかで、同時に3人の患者さんに大建中湯を処方しようとしたら、在庫が足りないといわれたことがあります。たった3人ですよ。

面倒な手続きがなく、必要な患者さんに必要な時に処方できるようになったことを大変ありがたく思っております(当たり前のことなんですが)。外科医であれば大建中湯のおかげて頑固な腸閉塞患者の手術を回避できた経験をお持ちの方は多く、「なぜ効くか」はともかく「とりあえず効けば試してみる」ことに抵抗の少ないのが外科医ではないかと思います。エビデンスがない、ということで京大病院では今まで採用されていなかったわけですが、まあそんなに高い薬でもないし、有害事象もほとんどないし(そもそも内容が山椒と人参と乾姜と膠飴ですから)、病院によっては開腹術後にほとんどルーチンに処方しているところもありますし、京大病院が今まで採用に抵抗していた理由もよくわかりません。

まあ漢方が嫌いなドクターないし基礎系の先生方はある一定の割合で存在するものと思います。私もすべての漢方が効くとは思っておりませんが、効くものもあるので選択肢として持っておいたほうが有利だと合理的判断をしています。

そういう意味の記念植樹でした。

それにしても大盛況となった研究会。これからどこに向かうのでしょうか。この規模になると今まで楽しくやっていた屠蘇散の作成などの実習ものが難しくなります。先着30名様限定?抽選?はたまた有料化?嬉しい誤算であります。ともあれみなさまご参加ありがとうございました。

No responses yet