Archive for 8月, 2009

8月 30 2009

マイケル・ジャクソンとプロポフォール

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急死したマイケル・ジャクソン氏の誕生日の8月29日、メキシコでファンがヒット曲「スリラー」のダンスを一斉に踊って記録に挑戦したそうです。ギネスに挑戦、ということなんでしょうが、1万人以上の人が集まってダンスなんかして、インフルエンザは大丈夫なんでしょうか・・・

それはそうと、マイケル・ジャクソン氏の死因について、アメリカ・ロサンゼルス郡検視局は投与された麻酔薬「プロポフォール」の急性中毒とほかの睡眠薬の影響によるものであると発表しています。

マイケル・ジャクソン氏は不眠症に悩んでいて、死亡前、専属の医師から3種類の睡眠薬を投与されていました。それでも眠れないということでプロポフォールを投与されたというのです。

プロポフォールって・・・

主として全身麻酔に使う薬剤です。麻酔科のドクターであれば、全身麻酔の導入の際や持続投与による維持に日常的に使う薬です。

(脂肪製剤なので白い牛乳のような液体です。大豆油や卵黄レシチンを含むので大豆・卵アレルギーの人には基本的には投与できません。)

しかし、私のような外科医にとってはめったに使う薬ではありません。患者さんを鎮静させる必要がある場合、たとえばICUで人工呼吸器で管理しなければならない時や、心房細動(血栓ができやすい不整脈の一種)に対して電流を流して除細動を行うときなどに使うものです。どちらかというと外科医にとっては自分ではあまり使いたくない、というか使うような状態を避けたい薬剤です。

まして、不眠を訴える患者さんに投与してよいはずがありません。

患者さんの要求にどこまでこたえるか、というのは実際には難しい問題です。頼まれるとなかなか断りにくい時もあります。しかし、患者さんの要求とはいえ、医学的に問題のあることにははっきりNoと言うべきでしょう。

まあ、マイケル・ジャクソン氏の主治医は、大物のクライアントを失いたくなかったのでしょうが・・・

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8月 27 2009

新型インフルエンザと社会

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新型インフルエンザが蔓延してきました。

保育園、学校などでも集団発生しつつあります。京都大学のある京都市左京区内の状況も同様です。

保育園が軒並み休園になった場合、働く親(特に母親)は勤務を継続することが困難になります。5月の神戸でも問題になりました。

医師もそうですが、看護師さんにも子持ちの方は大勢います。自分が感染しなくても、家族の感染の可能性もありますし、上述したとおり預け先がなくなって身動きがとれなくなる可能性もあります。

医療機関だけではなく、さまざまな分野でサービスが停止・または縮小する可能性があると思います。頭の痛い問題です。

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8月 20 2009

新型インフルエンザとワクチン

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新型インフルエンザの死者がでてしまいました。前に予言(?)したとおり、死者が出たとたんにマスコミも新型インフルエンザについて報道を過熱させ、マスクもまた不足し始めました。

じわじわとインフルエンザが増えているのは医師会からの情報で知っていました。この夏の最中にインフルエンザが学生などを中心に集団発生しているのを不気味に思っていました。今年の夏はあまり暑くなかったからか、新型ウィルスの性格が暑い時期でも増殖しやすいものだったのか、原因はよくわかりません。

通常の季節性インフルエンザでも基礎疾患があって免疫力が低下している人は死亡することがあるので、今回死者が出たからといって急にどうこうするのでは対応が遅いと思います。もっと国民に対してインフルエンザに関する正しい情報を与えて啓蒙する時間があったはずだからです。

今頃ワクチン接種の優先順位を議論しているなんて大馬鹿で、1,2ヶ月遅いのではないでしょうか。

それとも選挙対策か?人気があるという厚生労働大臣がクローズアップされてテレビに毎日出るようになりました。与党有利に働くかもしれないなどと邪推してしまいます。

それはさておき、アメリカでは

医療従事者

妊婦

6ヶ月未満の子どもの親

を優先的にインフルエンザワクチンを接種する方針だそうです。医療従事者がインフルエンザに感染すると本人は元気でも患者さんにうつす可能性がありますし、同僚に感染させれば少ないスタッフがさらに前線からいなくなり、治療に支障が生じるという理由でしょう。

妊婦は免疫力が低下しているので母体と胎児両方を守るためにワクチン接種は必要です。二人分の命を守るということですね。妊娠中は薬や注射は嫌だという人は多いですが、新型インフルエンザが疑われる妊婦にはタミフルによる治療をおこなうべしというWHOの勧告を日本産婦人科学会がHPで紹介しています。ワクチン接種に関しても、妊婦は優先的順位が与えられるべきであるということですので、妊婦の方には主治医と良く話し合っていただき、必要な対応をしていただきたいと思います。

6ヶ月未満の乳児にはインフルエンザワクチンを接種できませんので、少なくともその親が感染しないようにワクチンを接種させ、間接的に乳児を守るということです。

私自身は免疫力が低下するような基礎疾患はありませんし、妊婦でもないので仮に新型インフルエンザに感染してもそうそう重症化することはないでしょう。家で数日寝ていれば治るのではないかと思います。しかし、一応医者なので術後の患者さんや、抗がん剤投与中の患者さん、糖尿病の患者さんなどに接する機会があります。こういう方々にうつさない努力をする義務がある、ということです。

私は毎年インフルエンザワクチンを受ける主義なので、今年も少なくとも季節性のワクチンは接種しますし、もし機会があれば新型のワクチンも接種しようと思います。

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8月 15 2009

結核の予防とがんを考えるつどい

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9月10日に結核の予防とがんを考えるつどいで乳癌の予防についての講演をすることになっています。

日時: 平成21年9月10日
      開場 午後1時  開演 午後1時30分
場所: 京都アスニー(京都市生涯学習総合センター) 4階ホール
      京都市中京区丸太町七本松西入る

私のテーマは「ライフスタイルに合わせた乳癌検診~乳癌の予防と早期発見~」です。
対象が一般の方なので診断や治療のお話をするよりも「予防」の方が興味を持っていただけると思ってこういうテーマにしました。

今年は癌検診の無料受診件が配布されるなど癌検診が少しだけ注目されているかもしれません。選挙の争点にはなりそうもないですけど、医療の一つ手前の予防医学って重要だと思います。

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8月 08 2009

和・洋式トイレ

Published by under 少子高齢社会

先日市内の百貨店で女性用のトイレに入ったところ、数人の行列になっていました。

よく見ると空きがないわけではないのです。よく見ると、和式トイレは全部あいており、洋式トイレがふさがっていたのです。行列に並んでいたのは年配の方々とおなかの大きい妊婦さんでした。

「和式はあいていますよ」と親切に声をかけられました。

和式トイレと洋式トイレの数は同数でした。つまり半々ということになります。病院などの医療機関ではほとんどが洋式なのであまり意識していませんでしたが施設によって様々なんですね。

面白いなと思ったのは、それぞれの個室のドアにカウンタがとりつけてあって、利用者数をカウントしているように見受けられたことです。洋式の利用者のほうが多いということになれば洋式トイレの割合を増やすなどの対策を取るのかもしれません。

自宅のトイレが洋式でも外出先では和式が良いというのはなかなか不特定多数の人が利用する洋式トイレに座るのが何となく清潔でないように感じられるからだと思われます。

しかし、一方でしゃがんだり立ったりするのが体にこたえる人たちにとっては外出先でも洋式トイレのほうが良いわけです。

ADL(日常生活動作:食事、排泄、着脱衣、入浴、移動、寝起きなど、日常の生活を送るために必要な基本動作すべて。高齢者の身体活動能力や障害の程度をはかるための重要な指標にもなる。)について考えると、老年者のADLは時間の経過とともに低下していきます。それは様々な疾患にともなうものもありますが、膝や腰などの関節の問題や筋力の低下などによることが多いと思います。

世の中に和式トイレしかなければ、足腰の弱った老年者は自力でトイレに行くことが困難になり、要介護状態になります。

和式トイレは無理でも洋式トイレなら可能、という人にとっては洋式トイレの普及により要介護状態から免れていると言えます。

これは床で生活する和式の生活と、ベッドやイスを利用する洋式の生活全般に言えることで、床に座った状態や布団から起き上がるのに比べるとイスに座った状態やベッドから起き上がるほうがかなり楽です。

つまり、ADLの低下をもたらさないためには、

(1)体の機能を回復させる、あるいは低下させない努力をする

(2)設備や環境の整備をする(例:和式→洋式)

という両面から考える必要があるでしょう。

以前に述べたエレベータがないという話は上記の(2)が不足しているという例になります。エレベータがあれば足の悪い人でも一人で上の階に上がれる可能性があるのに、エレベータがないために人の手を借りなければならない、つまりADLが一段階低い状態に置かれるということです。

和式・洋式トイレがどれくらいの割合で利用されているかをカウントして、双方の利用者が一番利用しやすい比率に設置しなおすのは大変良いことだと思います。

ただ、一方で、どんどん便利になると体がなまるという一面もあるので可能であれば体を鍛えるとか、リハビリをして機能を回復させるという努力も必要ですね。

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