Archive for 6月, 2009

6月 24 2009

持続可能な医療供給体制を求めて

先日経済研究科の先生方と調査研究について会合をもちました。研究名を決めましょうということで
持続可能な医療供給体制を求めて-医師のワークライフバランスの観点から-
と命名することにしました。

悪化する労働条件などにより現場で働く医師たちの疲弊は限界に達しつつあること、また、家計支持者たる夫と家事・育児を担う妻という片稼ぎモデルが社会的に崩れつつあることなどをかんがみ、医師のワークライフバランスに注目して医療供給体制を考えるという試みです。高い理想を掲げてみました。

前調査として私の個人的な知り合いとその周辺の医師に依頼して3日間の業務内容を記載してもらいました。
約30名のデータが集まりました。研究中心、あるいは外勤が含まれるものなど集計が困難なものを除外し(つまり京大病院で臨床中心に働いている医師のデータのみ集計)、16名の1日の平均労働時間は11時間24分でした。食事などの休憩時間、オンコール、当直を除いているので実際の拘束時間はもっと長くなります。

育児中の女性医師でほぼ既定の時間どおり働いている人の8時間42分から外科系研修医の17時間まで様々でしたが、10~12時間くらいが一般的のようでした。

もちろんこれはサンプル数が少ないので何もものを言えるようなデータではありませんが、業務内容を細大漏らさずリストアップして、類型化し、調査票を作成するための重要なデータです。

経済の方々の感想をここで紹介しておきます。

「こんなに働いていては勉強したり研究したりする暇がありませんね。どうするんですか?」

ごもっともです。日進月歩の医学に携わる者として、研究はともかく日々の勉強は重要なはずです。

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6月 18 2009

麻酔科について

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以前、大学の同級生(眼科医)に、

「知り合いが腹腔鏡で胆嚢摘出術を受けるのに良い病院を探しているんだけど、良い病院を教えてほしい。」

と頼まれました。

「消化器外科領域の腹腔鏡手術の中でも胆嚢摘出術はそう難しい手術ではないので、それなりの症例数がある病院なら大差はないと思う。 」

と前置きを言っていくつかの病院を紹介しておきました。

「外科医の腕も大事だけど、常勤の麻酔科医がいるかどうかも重要だよ。」

とさらに付け加えておきました。外科医不足も最近取りざたされていますが、麻酔科医不足も大問題です。病院によっては麻酔科医をなかなか確保できず、外科系の医師がまわり持ちで麻酔をかけているところもけっこうあります。

外科医が術野に集中して手術ができるのは、全身管理を麻酔科医が請け負ってくれるからです。彼らは毎日毎日気管挿管をし、全身状態の管理、脊髄麻酔、硬膜外麻酔などの鎮痛を専門とするプロです。

手術症例数がある程度多いほうが手術が上手であろうということは、麻酔症例についても同様でしょう。専門外の医師がたまに麻酔をかけるのと、日々麻酔をかけることをなりわいとしているプロが麻酔をかけるのではやはり安心度が違うのではないでしょうか。

もちろん、ほとんどの手術、麻酔は問題なく済みます。しかし、何年か医者をしてリスクの高い患者さんの手術も請け負ってくると、手術や麻酔に関するいろいろなトラブルに出くわします。

私の同級生は、

「眼科だと全身麻酔の手術はあまりないからそういう視点がなかったけど、確かに麻酔も大事だよね。」

と納得していました。

私も手術を受けるなら、腕のいい執刀医と上手な麻酔科医のいる施設で受けたいと思っています。

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6月 12 2009

論文執筆

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昨年ちまちまと書いていた論文が今年に入って2本acceptされました。どちらも臨床ネタで、1本が日本語、もう1本が英語です。

日本語のほうは消化器外科学会雑誌の原著で、GIST (gastrointestinal stromal tumor)の症例を集めて検討したものです。最初に外科学会に出す準備を始めてから勘定すると2年半かけてようやく日の目を見たということになります。

英語のほうはJapanese  Journal of Clinical OncologyのCase Reportです。日本の雑誌なのですが、中身は英語です。

切除不能であった巨大な直腸癌がmFOLFOX6という化学療法のレジメンで病理学的に消失したという症例報告です。ここまで化学療法が効果があるのは珍しいので報告してみました。

これも書き始めてから1年半くらいかかっています。

今は何も論文を書いていないので、来年とか再来年の業績がゼロになる可能性があり、少々焦っています。細々とでも業績が絶えないようにしたいものです。

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6月 09 2009

医師のワークライフバランスについて

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経済研究科の先生方と、医師のワークライフバランスを考えるにあたり1日の勤務時間をどれくらいに設定するか、目標を決めましょうということになりました。

何事にも目標は大事です。

何時間勤務なら満足ですか?と聞かれ、1日12時間くらいまででしょうか?と答えると、笑われてしまいました。

それは、すでに感覚が麻痺しているというか、毒されているというのです。

本当は1日8時間、週40時間が法律で決められた労働時間なのだそうです。

1時間休憩時間を取るとして、8時30分から17時30分が基本といったところでしょうか。毎日こんな時間で帰れる勤務医はほとんどいないと思われるので、1日10時間勤務くらいならたいていの勤務医も納得できる勤務時間ではないかと思いました。

1日10時間勤務ならば例えば8時から19時になります。何となく、家族と夕食を一緒に食べられそうな時間なのでいい感じです。しかし、1日2時間時間外勤務をすれば、週10時間、月40時間になりますので、これでもまだ多すぎるといえます。

京大病院の助教・医員の場合、時間外手当については

月30時間(宿日直時における救命救急業務による超過勤務も含む)

※宿日直時における救命救急業務による超過勤務は、宿日直1回につき1時間が上限。

※超過勤務の対象となる業務は、診療業務のみで、臨床研究業務は対象外。

なお、1日あたり(6時間)、1ヶ月あたり(45時間)の上限を超えた場合は、別途理由書の提出が必要。

 ということなので、30時間以上の時間外勤務はしていないことになっているのです。付け加えると、宿日直では1時間以上働いていないことになっているようです。

 つまり、1日に2時間も時間外勤務をしてはならないということになります。さらに、土日にも働いているケースがありますし、法律通りの勤務時間を守るのはなかなか難しいということがわかりました。

我々の提言するワークライフバランスとしては、勤務時間を1日10時間以内かつ週45時間以内というのを目標にしてみました。これはオンコールや当直を除いているので実際の拘束時間はもう少し長くなると思いますが、これでも規定ぎりぎりです。

この目標と現実とがどれくらい乖離しているか、調査してみようと思っています。

 

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6月 04 2009

新聞記事(朝日新聞)

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先日のシンポジウムの記事が朝日新聞に掲載されました。

私の意図するところが全く伝わらない記事になっています。直前にご説明させていただいたのですが。。。おそらく記者の方があまり事前に予習しておられなかったのでしょう。

他にも新聞の取材を受けたことはありますが、それなりの時間を割いて連絡を取り合ったり、お話をさせてもらったりしました。今回の取材は当日というか会の直前にあわただしく準備をしているときに声をかけられたので、少し会の趣旨をお話しさせてもらった程度です。

もっとも、どのような記事にされるかはこちらから注文をつけることはできないので、記者の方がどのような印象を受けるかでどんどんこちらの意図とは変わっていくのだと最近気付きつつあります。もちろんこちらのコミュニケーション能力が不足しているということも反省しなければなりません。

少なくとも「働きやすい病院」というテーマのシンポジウムではなかったし、医師不足を地域で支えるという話はメインでなかったとここでは強調しておきます(いろいろディスカッションされた話のごく一部です)。


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