Archive for 12月, 2008

12月 31 2008

妊娠中の食事

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妊娠中は食事に気をつけなければならないというのは当然ですが、実際どのような食事をとればよいのか十分理解されているかは疑問です。

「小さく産んで大きく育てよ」というモットーのもとに、母体の体重制限が安産につながるとされ厳しい体重制限が行われていた時期があります。

胎児期に低栄養環境にさらされると、成人してから成人病を発病する頻度が高いという説もあり、過度の体重制限はよくないのです。

厚生労働省のガイドラインによると、母体の体重により推奨体重増加量が異なります。

低体重(やせ)BMI 18.5%未満      9~12kg

ふつう         18.5~25.0     7~12kg

肥満          25.0以上       個別対応

となっています。日本産科婦人科学会の指針によると

BMI 18未満   10~12kg

18~24      7~10kg

24以上         5~7kg

となっています。つまり肥満でない限り、10kgくらいは増加するのが望ましいのです。

そもそも妊娠中は妊娠初期(16週未満)で50kcal/日、妊娠中期(16~28週未満)で250kcal/日、妊娠後期((28週以降)で500kcal/日を非妊時の所要量に加算しなければなりませんし、葉酸、カルシウム、鉄分などを十分に摂取しなければなりません。

特に、葉酸は妊娠が分かってから摂取しはじめても遅いので、非妊時から 積極的にホウレンソウ、ブロッコリー、アスパラガスなどの野菜を摂取するべきだと言われています。葉酸不足と神経管閉鎖障害の強い関連性は有名です。

子どもの人生はもしかすると出産前(妊娠前)から勝負が始まっているのかもしれません。母親の知識、教養、食事などの生活習慣などが大きく反映される可能性があります。

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12月 20 2008

京都の外から

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昨日京都の外からの会員申請がありました。

京都の外の人の視点も重要だと思います。

このHPもコンスタントに一日数十人の閲覧がありますから、ちょこちょこと人の目に触れているのでしょう。

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12月 19 2008

ヒブワクチン発売

本日ヒブワクチンが発売になりました。

ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型感染症はのどから入って、脳を包む髄膜、のどの奥の喉頭蓋、肺などに炎症を起こします。欧米では小さな子どもにも有効なワクチンが開発され、この病気は激減しています。

日本ではヒブワクチンが使えなかったのですが、本日より発売開始となりました。

髄膜炎の初期は風邪などと区別がつきにくく、血液検査でもあまり変化が出ないため診断が遅くなりがちです。その後にけいれんや意識障害が出てきます。亡くなる子どもも5-10%いて、脳の後遺症が30%くらいに残ります。のどの奥に起こる喉頭蓋炎も、急速に進行して重症になり、死亡することも少なくありません。生後2か月以上で5歳未満のお子さんは接種したほうがよいそうです。
接種回数は年齢により異なります。

生後2か月から7か月未満は合計4回です。三種混合ワクチンとの同時接種も可能です。7か月から1歳未満は3回、1歳から4歳までは1回です。

国の定期接種になっていないので一回7000~8000円かかります。4回接種として3万円くらいの個人負担ですね。

毎年600人くらいがかかるインフルエンザ菌による細菌性髄膜炎の予防に有効なこのワクチンですが、600人というのは多いとみるか、少ないとみるか。

2007年の出生数が109万人ということですから、国の定期接種にするとすれば年間600人の罹患数の疾患に対して約109万人に注射することになります。コストパフォーマンスとしてはあまり良くないんじゃないかという意見が我々のディスカッションの中で出てきました。

現在は任意接種ですから、「子どものために接種させたい!」と思う親御さんはぜひ小児科の先生と相談なさってください。 今までは注射が日本になかったので選択の余地がなかったかもしれませんが、これからは「予防可能」になったということで、打つ・打たないは親の判断になります。打たないと判断して感染した場合、後悔することになるかもしれませんから、難しいところだと思います。

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12月 18 2008

京都大学女性医師の会

先週の院長との面談で、女性医師の集まりを作りたいと申し上げたところ、許可をいただきましたので、早速作ってみました。

Kyoto University Medical Women’s Association

と申します。日本語だと「京都大学女性医師の会」 くらいになるでしょうか。

ドクターはみな多忙ですからそうそう会って話をする機会を作るのも難しいと考え、ひとまず情報・意見交換の場としてメーリングリストを作成しました。参加資格の幅を広げすぎるとメンテナンスやセキュリティの問題がありますし、メーリングリストそのものが医療情報部の協力により京大病院のサーバーに設置したものですから

「京大病院で勤務する医師」

「京都大学大学院医学研究科大学院生(研究生・研修員)かつ医師」

ということにとりあえず設定し、参加者を募っています。運営についてはおいおい検討していくつもりです。

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12月 13 2008

祝!京都のタクシー禁煙化!

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祝!タクシー禁煙化!

ここのところ院長面談や出張の記事を記載していましたが、この話題を忘れていたわけではありません。

府内のタクシー会社60社が加盟する京都乗用自動車協会は10日、「できるだけすみやかに」タクシーを全面禁煙することを決定しました。

滋賀、奈良県などではすでに全面禁煙になっているので遅ればせながら、といったところです。

先日全車禁煙をうたっている某社のタクシーの運転手が空車のタクシーを走らせながら喫煙していたので目が点になってしまいました。もちろんそのタクシー会社に電話して、禁煙車のタクシー運転手が走りながら吸っているのは外から見て見苦しいし、信用問題なのでやめたほうが良いと指摘しておきました。

私が危惧するのは、運転手が喫煙者の場合車内は結構タバコのにおいがする可能性が高いですし、乗客が違反して喫煙することに寛容である可能性があるのではないかということです。

まあ、何はともあれ禁煙化はめでたいことです。医師会がタクシー協会に要望を出した甲斐がありました。

車を運転しない私にとってはタクシーは必要な足なので、今までは禁煙車を待つために何台もやり過ごすことがしょっちゅうでした。全車禁煙になれば一応そのような時間のロスを減らすことができます。

しかし、正直なところ、禁煙車を大幅増加させつつ喫煙車も残しておいたほうが喫煙者、非喫煙者双方の利益だと思っています。その分禁煙車は絶対禁煙で運転手も非喫煙者とし、乗客にも絶対に吸わせないよう徹底するのです。

京都市立病院は来年1月5日から敷地内で客待ちするタクシーは禁煙タクシーに限ることにしたということです。患者さんが乗ることが多いでしょうから当然と言えば当然の措置ですね。

京大病院もぜひそうしていただきたい!

さらに病院周囲も絶対禁煙にして取り締まっていただきたい!東大路の西側の歩道は喫煙する職員・患者・業者などでものすごいことになっています。

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12月 12 2008

大阪厚生年金病院見学

昨日院長面談の後、大阪厚生年金病院へ見学に行ってまいりました。もちろんこれも、現在調査研究を進めている「京都大学における男女共同参画に資する調査研究-京都大学医学部附属病院において期待される女性医師支援」の一環としての出張です。

京阪中之島線ができたのでたいへん便利になりました。

 

院長の清野先生が対応してくださいました。お忙しいところ、厚生年金病院での取り組みについて直接ご説明いただきました。

女性医師の「子育て支援」というよりは、「ワークライフバランス」を考え、従来よりも短時間勤務でも正職員として雇用を続けることが基本的な考え方のようです。

休職後の「復職支援」にお金を使うよりも、「やめさせない」ことが重要であるということを強調しておられました。

そこで、大阪厚生年金病院の子育て支援体制としては、

1.産休・育休制度

2.時間短縮・勤務日短縮

3.残業免除

4.当直免除あるいは制限

5.駐車場優先使用

6.保育園・病児保育室利用

などがあります。時間短縮・勤務日短縮やと当直免除のためにはゆとりのある人員配備が必要なので余裕をもって医師を確保しておく必要があります。

また、休暇支援は正職員のみならず研修医やパートタイマーにも適応されます。

週3日でも正職員として勤務したほうが社会保険料などを病院が負担してくれるのでパートタイム勤務よりもお得です、と力説しておられました。

(パートタイムだと年金や健康保険を自分で加入しなければなりませんので)

その辺をなかなか理解してもらえないことがあって、女性医師ももっと社会的な知識をつけたほうが良いと院長先生はおっしゃっていました。

まったく、無知は損です。

また、女性医師支援(子育て支援)には全職員の待遇改善が重要であるというお話で、それはもともと我々が考えていることと全く同様でした。

また、外科で奮闘中の女性のドクターも来てくださっていろいろご苦労されているお話をおうかがいしました。お子さんが小さいので大変です。

その後、院内保育所を見学してきました。院長秘書さんが案内してくださったのですが、その方ご自身も今年の3月までお子さんをその保育所に預けておられたそうです。

    とてもかわいらしい外観です。

  クリスマスの飾りつけがされていました。

3歳の誕生日の次の3月いっぱいまで預けられるそうです。運動場がないのでそれ以上の年齢になるとなかなか保育は難しいのです。

また、病児保育室も見せていただきました。小児病棟の一番奥にありました。小児科のスタッフの目が届きやすそうでなかなか便利なところだと思いました。

市中病院と大学病院は役割が違いますのでなかなか難しいとは思いますが、京大病院も少しずつ良い方向に向かっていけばよいと思っています。女性医師の待遇もそうですが、医師全体の勤務状態が大変厳しいので「女性医師だから」と主張することは難しい状況です。

院長先生に京大病院で講演会やセミナーシンポジウムなどを企画した際にはぜひいらしてくださいとお願いしたところ、快諾してくださいました。

あちこちで講演をされたり院内の業務もお忙しいと思いますが、こちらも万全の準備をしてお迎えしたいと考えています。

大阪厚生年金病院の皆さんありがとうございました。

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12月 11 2008

院長面談

本日、京都大学病院院長と今後女性医師支援についての院内調査研究をするにあたって面談してきました。京都大学地域研究統合情報センター教授押川文子先生と女性医師支援センター特任教授登谷美穂子先生にもご列席いただきました。

院内調査の件と、院内で女性医師支援についてのシンポジウムのような会を開催したいという件と、女性医師の会を作りたいと説明しました。

院内調査に関しては個人情報にかかわる部分もあるので倫理委員会を通すように指摘を受けました。シンポジウムも院内の部屋を使用してもかまわないし、広報も可、女性医師の会も自由にやってくださいというお話でした。

女性医師支援についてはいろいろ動き出しているというお話(ある科で現在週4日以上勤務しか認められていない勤務形態をを3日でも可にしてほしいという要望が来ている、など)でしたが、私にはピンときませんでした。

なぜならこういう話題に一番耳ざといはずの私の耳に入っていないくらいですから、病院がいろいろ動いているにしろ、いちいち個々の事例に対応しているという次元なのだろうと感じました。

科レベル、個人レベルでとどまっている問題が結構あるのではないかなあと思います。病院全体で取り組まなければ解決しない問題はたくさんあると思います(本当は日本全体で、ですが)。

しかし、何はともあれ調査研究自体は認めていただいたわけですし、そういう表に出ない問題を掘り起こす作業をぼちぼちと進めていきたいと思います。

京都府は人口10万人当たりの医師の数が日本で一番多い都道府県です。

なんと東京都よりも多いんですね。

医師が多いので医師不足を感じることもない(丹後地方など地方では不足しているので大学病院を2つも抱える京都市などは医師であふれかえっているのでしょう)ので、女性医師支援など進まないのでしょう。医師確保を重視しなければならない地方のほうが女性医師支援は先行しているのだと思います。

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12月 05 2008

乳癌検診学会

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本日名古屋国際会議場で日本乳癌検診学会総会が行われたので参加してきました。名古屋国際会議場というところはしょっちゅう学会が行われるので行き慣れております。

今回は発表をするのではなく、もっぱら聞き役というか勉強しに行ってきました。 
乳癌学会などに比べるとこじんまりとしているというか、地味な学会です。

ランチョンセミナーはお弁当を食べながら講師の先生の講義を聴くものです。
今回は乳癌治療医からみた検診の問題点についてのセミナーを聞いてきました。
いろいろ問題点を挙げておられ、いちいちごもっともと納得することばかりでした。

中でも興味を引いたのは厚生労働省の掲げる「検診受診率を50%に」という目標における「検診受診率」とはどういう定義なのか?という指摘と、ピンクリボン運動などにおけるシンポジウムによる検診受診率アップという効果はあまりないのではないかという意見でした。

確かに、検診受診率は全国平均で12~3%なのですが、これは住民検診のデータであり、職場で受ける検診などはまったく実態が把握されていないために計上できておりません。しかし、職域検診を計上しなければ受診率50%の達成は不可能だと思われます。

また、ピンクリボン運動には私はかなり懐疑的なのですが、特にシンポジウムなどは癌患者が参加することが多く、もともと興味のない人を集める力はないのではないかと講師の先生もおっしゃっておられました。ただし、ウォークイベントのようなものに参加した人の中には乳癌検診未受診者が結構いて、イベントをきっかけに1年以内に受診した人が何割かいたと話しておられました。これは少し意外でした。

次にポスター会場に行っていくつかのポスターを眺めてきました。ピンクリボン運動とはなぜこんなに「トンデモ」なものが多いのか?

札幌では雪祭りのときに「犬のマンモグラフィ」や「ネズミのマンモグラフィ」の雪像を作成したそうです。

京都は京都タワーと市役所と京都府庁をピンクにライトアップしたそうです。

全く意味がわかりません。いくらの経費をかけて何人の受診者増加につながったのか検証していただきたいものです。すくなくともポスターのはそういう検証はされていませんでした。

こういう単発のイベントに私が懐疑的なのは、主催すること自体が目的になってしまって、実際の費用対効果の検証を示していないものがほとんどだと思うからです。

 さて、そのあと、病院の職員を対象とした乳癌検診の取り組みについてのセッションを見に行きました。こういう発表のパターンとしては、「医療関係者の割に受診率が低い」という結果につきます。

また、20歳代、30歳代の受診希望者がかなりいるという話をしていました。20歳代に対して毎年マンモグラフィを受けさせるなどという非科学的なことを医療機関としてあるいは乳癌検診学会として勧奨してはいけないはずだけどなあと思いながら聞いていました。

最後に本日のメインイベント、乳癌検診についてのシンポジウムを聞きに行きました。トップバッターは厚生労働省健康局総務課がん対策推進室長という方でした。

9月の乳癌学会の時に室長代理がしゃべったのと半分以上同じ内容でした。

野球場やビジネス街など人が集まりやすいところで乳癌検診促進のためのイベントを行う、とか、かかりつけ医からの勧奨を進めるなどまたよくわからない案ばかりでした。

まじめに考えているのかかなり心配です。ビジネス街で乳癌検診受診促進のイベントをして、誰がどこの検診を受けに行くというのでしょう?ビジネス街、ということは働く女性に訴えるのでしょうが、働く女性は住民検診を受診する時間がなく(たいてい平日の昼間)、職場の検診に乳癌検診が含まれていなければなかなか受診の機会はありません。まず、職域検診の整備をしろと言いたい!

そういうわけで、質問してきました。数百人の聴衆がいたようですが、一番前の正面の席だったので人目も気にしませんでした。

1)検診受診率50%というのは職域も含めての目標か?

(2)職域の検診の精度管理について今後どのように厚生労働省としては考えているか?

はっきり言って答えはわかって聞いているので意地悪と言えば意地悪ですね。

(1)の答えは「職域も含めて」、ということでしたし、(2)については「現在は職域検診は義務ではないが、今後精度管理については検討課題である」という答えでした。

検診受診率50%を達成するためには職域検診を含めなければならない、しかし職域検診については精度管理どころか実態把握すらされていない。さて、どうやって目標を達成するのか?

職域検診に手をつけざるを得ませんね。その言質をとったということでもう少し突っ込んだ質問もできたのですがその辺で引き下がりました。

(実は厚生労働省にも逃げ道があります。「国民生活基礎調査」という調査で、国民に対して乳癌検診を受診したか聞いてしまえば住民検診も職域検診もいっしょくたにした受診率を計算することができます。たぶんそうやって逃げるつもりなのだろうと思っています)

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12月 03 2008

岡山大学病院キャリアセンター

岡山大学キャリアセンターのHPで、私が訪問した記事がアップされています。

こういう取り組みのネットワークができ、情報交換が進むとより効率的な活動につながると考えています。

来年は私の調査研究の一環として京都大学病院で初の女性医師支援についてのシンポジウム(セミナー?パネルディスカッション?形式についてはこれから検討します)を企画しています。その際には「女性を生かすキャリア支援計画」代表片岡仁美先生にもお越しいただきたいと考えています。

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12月 02 2008

いわゆる割りばし事件

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1999年、4歳の保育園児がのどに割りばしを刺して死亡した事故を巡り、業務上過失致死罪に問われ、東京高裁で無罪が言い渡された医師について、検察当局は上告を断念する方針だそうです。

上告期限は4日ですが、医師の無罪が確定する見通しです。

東京地裁判決では、医師の過失を認定する一方、「死亡との因果関係がない」と無罪を言い渡し、高裁は先月20日CT検査などをすべき注意義務があったとはいえないと過失も否定しています。
1999年と言えば私が医者になった年です。この事件はインパクトのある事件でした。頭蓋底から割りばしのようなものが脳に刺さったとしてもCTでも見つけにくいでしょうし、たとえ発見できても救命は難しいだろうと言われていました。

外科医として子どもの外傷を診ることがありますが、特に頭部打撲の症例において神経学的異常がないかを診るのはとても緊張します。小児科医でも小児外科医でもないので子どもの正常な状態を把握するのは難しいからです。月例や年齢によっても変わりますし。また、はっきり症状を言いませんし、嫌がって暴れたりしてきちんと診察させてくれないこともあります。

4歳の男児のどの奥に何かが刺さったかどうかなど、「刺さったかもしれない」という前情報がない限りなかなか診るところではありません。刺さったものが突き出ていれば別ですが・・・

そもそも小児科の先生のように子どもを上手に診ることができません。

子どもを亡くした親からすると怒りや悲しみの矛先をどこかに向けたい気持ちは理解できます。しかし、一人の医師の医師生命を奪いかねない刑事告訴はそれとは別個に考えるべきでしょう。

1歳以降の子どもの死亡原因の第1位は不慮の事故です。健康な子どもでも一瞬の油断で死んでしまうことがあるわけで、両親を含めて社会全体が子どもに安全な環境づくりをしていく必要があります。

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