Archive for 11月, 2008

11月 28 2008

歯科クリニックの選択

Published by under 感染対策

患者ごとに手袋を交換していない歯科クリニックからは結局逃げてしまいました。次の予約をキャンセルした際、いつに変更するかと聞かれましたが、「もう結構です」とお断りしました。残念ながら理由までは申し上げられませんでしたが。

そこで感染対策をしている歯科クリニックをインターネットで検索し、少々遠いのですが出かけてきました。タクシーで片道20分くらい、約2000円という時間とお金を投資しました。タクシーの運転手さんにはどうしてそんなに遠くの歯医者まで出かけるのか尋ねられましたので、正直に「手袋を替えない歯科は厭なので感染対策をきっちりしているところにわざわざ出向くのだ」と説明しました。すると、確かにその運転手さんのかかりつけの歯科でも手袋を交換していないという証言を得ました。

そもそもわざわざ「当院では感染対策に力を入れています」とHPに載せているところがあるということは、逆に言えば力を入れていないところが多いのではないかと疑ってしまいます。

手袋も直接口腔粘膜に触れるものですが、歯科には他にもたくさんの器械や道具類があります。たとえば、高速回転で歯を削る道具(ハンドピースというそうです)は構造上、唾液や血液の逆流が防ぎきれない構造となっています。私が受診したクリニックではハンドピース・スリーウェイシリンジというものを患者ごとに1本1本交換して滅菌しているということでした。ここまでしているところはあまりないのではないかというお話でした。

自分が医師で、感染対策がいい加減な歯科クリニックから逃げてきたのだとはっきり申し上げた上で処置していただいたのですっきりしました。そして、どうして感染対策に気を配るようになったのかとそこの先生に聞いてみたところ、あっさり、「自分がされたら嫌なことはしないだけです」と言われました。やっぱり嫌なのは私だけではないのですね。

感染対策に気を配っているというだけあってクリニックはきれいだし、可能な限りディスポのものを使用しているようで安心感がありました。手袋すら交換しないところでは他に見えないところがどうなっているのか不安感を掻き立てられましたから(もしかすると実際はきちんとしていたのかもしれませんが・・・)。

さて、私は勉強のために日本歯科医学会が編纂した一般歯科向けの院内感染対策に関する本を2冊amazonで注文しました。

以前、矯正歯科学会の理事の先生は内科の先生が患者さんの体に触るときに手袋をしないのを矯正歯科の先生が患者ごとに手袋を交換しないのと同義のように説明しておられましたが、健常な皮膚と粘膜の違いについて理解しておられないのではないかと感じておりました。

そういう点で、歯科の先生がどのように感染対策を行うべきとされているのか、実情はどうなのかもう少し調べてみたいと思います。

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11月 27 2008

岡山大学病院キャリアセンター見学

現在調査研究を進めている「京都大学における男女共同参画に資する調査研究-京都大学医学部附属病院において期待される女性医師支援」の一環として、本日岡山大学病院キャリアセンターを訪問してきました。

センター代表の片岡先生が出迎えてくださり、いろいろと概要を説明してくださいました。
センターは先生と、事務方のスタッフ4人で構成されています。

平成19年度文部科学省医療人GP採択「女性を生かすキャリア支援計画」として採択されたもので、女性医師の離職防止・復職支援を柱に活動されています。

平成15年度以降卒業生の3割が女性になったということで女性医師に対する対策が重要課題になってきたということです(それでも助教以上のポジションにある女性医師はまだ5%くらいなのだそうです)。

こちらのセンターではMUSCUTという愛称(?)で様々な活動をされていますが、特に実技の再トレーニング(スキルアップ)とポジションを作ることに力を入れているということでした。
また、mixiのような会員限定のネットワークを作成し、相談できる先輩(メンターのようなものでしょうか)や復職支援プログラムの紹介、さまざまな掲示板による情報交換などをされています。55人が参加されているというお話でしたが、今後もっと増えそうです。
ただ、メーリングリストよりは自分でログインして覗きに行かなければならないので若干能動的でなければ参加しにくいかもしれないとおっしゃっていました。われわれは予算もありませんし、まずはメーリングリストくらいから始めるのが良いかも知れないと思いました。

ポジション(ポスト)を作るということでは、従来の医員枠に加えて「支援枠」を定員なしで設け、これは育児中などの事情のあるドクターが時短・週4日未満(従来医員は4日以上勤務することになっていた)でも勤務できるようになったということです。それまでは有給で柔軟に働くことは非常に困難だったこともあり、多くの女性医師がその枠を利用して復職しています。

また、岡山県医師会や病院部会と協力し、復職支援プログラムに協力してくれる医療機関に登録証を渡しておられます。そして登録された医療機関はHPでも紹介されています。

いろいろなことを同時並行で活動されていて、片岡先生をはじめ、スタッフの方々の気合が感じられました。

また、院内保育所も見学に行きました。病院の敷地内にあり、現在63人の子どもたちがいます。

もともとは30年くらい前にできた看護師さん向けの施設だったようですが、現在は医師4割、看護師4割、そのほか事務職など2割くらいの割合で利用されているとうかがいました。院内保育所の割にはかなり規模が大きなほうではないでしょうか。


おうかがいした時間はちょうど子どもたちのお昼寝の時間で、部屋を見せていただいたのですが、みんなでそろって寝ている姿は壮観でした。産休明けから就学前まで預かってくれるそうです。院内保育で就学前まで見てくれるところはあまりないと思います。

ゼロ歳児の部屋ものぞいてきました。さすがにゼロ歳児は決まった時間にお昼寝をするわけではないので何人かは起きて遊んだりスタッフに抱かれたりしていました。

現時点では利用者の支払う保育料で運営されており、赤字分を病院が補てんしていたのですが、来年からは大学から予算が下りるようになったので少し状況が良くなるかもしれないということです。保育園の保育士さんの身分が現状ではなんと事務補佐員としてしかお給料が出ていないということで、待遇がかなり厳しいとのこと。それでも少ない人数でかなり頑張っておられるのです(医師不足問題と共通するものがあるようにも思います)。来年度から、大学自体の福利厚生施設となる動きも出てきており、保育士さんの身分など待遇改善についても再検討をお願いしていくそうです。

それでも院内に、つまり本当に身近なところに子どもがいるというのは気持ち的にはとても支えになるはずで、授乳に通うのでも院外に出ていくよりはPHSなどもつながるところで精神的にはとても楽だと思います。子どもにしても母親がちょっとでも顔を見せてくれると安心するのだと保育園の先生もおっしゃっていました。

保育園の見学の後、コアメンバーの一人で産婦人科の関先生が産婦人科の医局員を対象に行ったアンケート調査の概要を説明してくださり、さらに片岡先生とおふたりで私の質問に答えてくださいました。最近の若い先生の中には両立できないからとあっさり辞めてしまう人がときどきいるけれども、どんなに頑張ってもしんどい時期はあり、それを乗り越えなければならないし、また一方で支援されるのを当然と考えすぎるのも良くないというご意見もいただきました。

また、院内の女性医師を対象に行ったアンケート内容などを教えていただくなど、今後のわれわれの調査研究のために大変参考になりました。


 ありがとうございました。

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11月 23 2008

医療崩壊

本日のメインイベントは医療崩壊についての講演でした。京都大学においてこのテーマが語られるのは初めてのことではないかと思います。

一般の方や医師、看護師などの医療関係者の間の認識のずれが浮き彫りになりました。

特に「医療ミス」の定義については医療者側からと患者(の家族)側からみると全く思いが異なります。

医療者が言う医療ミスとは極端にいえば「薬を取り違えた」「手術する左右を間違えた」「薬の量をひとケタ間違えた」ということになります。これらは明らかにミスで申し開きができないものです。

一方、ある患者さんを見たときに複数のアプローチが考えられる場合があります。

虫垂炎とすぐに診断してすぐに手術をする、虫垂炎と診断はするが手術の必要はまだないと考えて入院の上抗生剤などの投与で経過を見る、虫垂炎の可能性があることを患者に伝え、内服の抗生剤を処方して自宅で様子を見るよう伝える、など腹痛の程度(これは医師の触診などによる)や検査所見をどう読むかによって患者さんを診た時点で判断することになります。

様子を見ていても結果的に手術が必要になった場合、これが判断ミスなのかといわれるとそれは医師の想定内であり、ミスではないだろうというのが医師の言い分になります。

しかし、最初の時点で手術が必要と判断してほしいというのが一般の方の気持ちのようです。また、「様子を見た」ために処置が遅れて結果的に重症になってしまったり、極端なことを言えば亡くなってしまったりした場合は医療ミスではないかと考えてしまいます。

そして現在は訴訟という形でしか患者側は真相究明や怒りの感情のやり場がないのが問題ではないかという議論になりました。

こういうイベントをこれからも開催したいと思います。病気じゃない時にも医者の話を聞いてみたい!という人は結構多いのではないかと考えているのですがいかがでしょう?

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11月 22 2008

白熱した議論

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場所がわかりにくいところだったにもかかわらず、わざわざ探して来てくださった皆さん、ありがとうございました。ふらっと入ってこられるような場所ではないので集まったのはコアな方々ということになるのでしょう。

市内の病院関係者の方々(なんと院長先生まで!ありがとうございました)、理学部の学生さん、院生の方、教育研究科の院生の方、和歌山医大の学生さん、ちょっと所属をおうかがいしそこねた女性の方、ありがとうございました。もしこの会に興味を持っていただけたら今後もいろいろな形でご参加ください。

ロールプレイングを実際に医療の現場で働いたことのない一般の方にお願いするというのはかなり無謀という気がしていましたが、割り振った役割を一生懸命演じてもらいました。

設定は

「脳出血の妊婦がかかりつけ医を受診、かかりつけ医が受け入れ先を探す」

「夜間の救急外来で発熱の子どもを連れた親が診察の順番をぜんそく発作の子どもに先を越されて怒りだす」

「胃癌の手術前の説明」

についてロールプレイングを行いました。結構難しいと思いました。

頭痛を訴える妊婦とかかりつけ医、受け入れ先の病院の当直医という設定で私はかかりつけ医の役をしました。脳外科疾患の可能性を考え、受け入れ先を電話で探し始めると、患者さんや患者さんの家族への対応がおろそかになることがわかりました。

「頭が痛いんです。大丈夫でしょうか?」

「急いで大きな病院へ行くなんて、どうなんでしょう?そんな急がなければならない状態なんですか?」

と妊婦役が不安そうなセリフを言ってきても、受け入れ先に何とか受け入れてもらおうと話すのに必死で余裕がないのでうまく返答することができません。

受け入れ先を医師が探すというのは、医師が患者さんに向き合う時間と気力を削ぐものであるということがよくわかりました。下手をすると患者さんのちょっとした変化やサインのようなものを見落とす可能性もあります。

また、コンビニ病院の是非や、このHPで私が述べていた歯科医師の手袋問題、患者さんの呼称問題(患者さんor患者様?)について論じたり、学生はもっと勉強すべし、と我々が主張したり、と我々にとっても勉強する良い機会になりました。

明日もやります。総合館西棟の共西01講義室で10時~16時となっています。よろしくお願いします。

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11月 21 2008

いよいよ明日からイベント

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手作り感いっぱいのビラですが、うちの学生会員が作ってくれました。

明日からいよいよ京都大学11月祭で我々の初公開イベントを行います。

ぜひお誘い合わせのうえお越しください。

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11月 20 2008

麻生総理の発言に対する抗議

Published by under 医師の待遇,医師会

平成20年11 月20 日
内閣総理大臣
麻生 太郎 殿
麻生総理の発言に対する抗議
社団法人 日本医師会
会長 唐澤 祥人

昨日開催された全国都道府県知事会議において、麻生総理は医師につ
いて「社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言された。
この発言は、特定の職業を名指しして、根拠なしに差別するものであ
り、激しい憤りを禁じえない。
全国の医師会員を代表して、また国民の一人として断じてこれを認め
ることはできない。総理には、発言を撤回し、誠意をもって謝罪をして
いただきたい。
いま、医療現場は、常識では考えられないほどの過酷な労働環境にあ
る。国民は、医療を受けられなくなるとの不安に怯え、救急、産科、小
児科を中心に医療崩壊が現実化していることは、総理も認識されている
はずである。
日本の医療は、医療現場の献身的な努力と、厳しい現状の中でも国民
が医師をはじめとした医療関係者を信頼してくれることにより、ぎりぎ
りのところで持ちこたえられているのである。
こういう中にあって、総理の発言は、日本の医療を根底から否定する
ものであり、国民を失望させた。
先般の二階経済産業大臣の発言に続き、国政を代表する立場にある総
理のあまりにも認識を欠いた軽率な発言は、耐え難い環境で医療現場を
懸命に守る医師の真摯な努力を踏みにじるものであり、奈落の底に突き
落とされた思いである。
このままでは、日本の医療の再生はますます困難になる。
総理自身が熟考された上で、あやまちを認め、認識をあらためられる
ことを強く求める。

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11月 20 2008

見てしまった・・・

Published by under 感染対策

今日、歯科クリニックに行ってきました。

ドクターが水道で手袋ごと手を洗い、ベイスン(洗面器のようなもので中に消毒薬などを入れておく)の中に浸してあった手拭いでぬぐって、横にかけてあった普通の布タオルで手を拭いて・・・

見てしまいました。
歯科の先生が手袋をあまり交換しないというのは本当だったんですね・・・何だか気分が悪くなってむかむかしてきました。

そもそもベイスンというのは前世紀の遺物ではないでしょうか。手袋も患者ごとに交換するべきだし、手を拭くタオルも使い捨てかエアターオルでなければ・・・

今後も通うべきか悩む光景でした。どなたか、ここはちゃんと感染対策してるという歯科があったら紹介してください!

(一般歯科・口腔外科だったんですけど・・・) 

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11月 19 2008

ついにこの人まで「いらんこと言い」

Published by under 医師の待遇

麻生首相は19日の全国知事会議で、地方の医師確保策についての見解を問われ、「自分が病院を経営しているから言うわけじゃないけれど、大変ですよ。はっきり言って社会的常識がかなり欠落している人が多い」と述べたそうです。

どういう文脈でそう言ったのかはわかりませんが、麻生グループ傘下の飯塚病院のドクターたちはどう思ったのでしょうね。

もともとそんなに悪い印象を持っていなかったのに残念です。

いずれにせよこんなリーダーでは日本の医療も崩壊まっしぐら、でしょうね。残念ながら…

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11月 13 2008

もうひとり「いらんこと言い」を発見

Published by under 医師の待遇,医師不足

阪南市立病院でせっかく招聘した医師がまたしても集団退職(8人!)の意向だそうです。今月26日の市長選で、給与引き下げを検討する可能性に言及した元副市長が、医師招聘を進めてきた現職を破り初当選し、医師が反発しました。

阪南市立病院は医師の大量退職で一時内科を休診するなど経営難に陥りました。市は医師確保のため、歩合給を導入するなどして、年収約1200万円の医師給与を約2000万円に引き上げた結果、医師確保が進み、今年9月からは内科診療も再開していました。

福山氏は当選後、歩合給は公立病院にはなじまないと見直しの可能性に言及したところ、医師の反発を招いたのです。

この市長さんも「いらんこと言い」ですね。この医師確保難の時代にせっかく招聘できた医師に逃げられるなんて。そしてたぶん新たな医師を確保することも困難になるでしょう。内科のない病院なんて病院として機能するのでしょうか?

兵庫県立柏原病院という病院があります。小児科の危機に際して地域の母親たちが「県立柏原病院の小児科を守る会」を作って活動し、やめようとしていた小児科医師の慰留に成功した上に医師の増員まで可能にしたのです。
この会の3つのスローガンのひとつは「お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう」です。

世の中には医者が夜中や土日にも働くのを当然と思っている人たちがいます。私も、手術の説明をするから家族を呼んでくださいというと、夫は20時以降にならないと仕事が終わらないから20時以降にしてほしい、とか、娘は土日しか休みではないから土日にしてくださいとか当たり前のように言われていました。

私の勤務時間が何時から何時までで休日がいつかなんてことには考えが及ばないのでしょう。急変や緊急手術であれば夜間でも休日でも面談させていただきますが・・・
(申し訳ありませんが私はそういう時間外のお約束は基本的にお断りさせていただいておりました。自分のコンディションを整えるのも自分の責任ですから。)

そういう中で、お医者さんに感謝の気持ちを伝える、というのは大きなファクターですね。しんどいな~疲れたな~というときに、「ありがとうございました」とか、「夜遅いのに大変ですね」などと言われると「いえいえ、仕事ですから」と気持ちに折り合いをつけやすいものです。

柏原病院では、頑張って小児科の立て直しには成功しましたが、それでもまだ各科で医師募集を続けています。特に内科の医師を急募していると聞いています。医師不足は深刻です。

柏原病院では旧態の公立病院のような一律な勤務形態の制約はなく、個々の勤務形態について相談に応じるということですから興味のあるドクターは応募してみてはいかがでしょうか。

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11月 12 2008

京都大学のイベントとしての11月祭

Published by under 京の行事,京都大学

京都大学において11月21,22,23,24日に11月祭という大学祭が開催されます。

今年のテーマは「単位より大切ななにかを求めて」なのだそうです。そのあまりの馬鹿さ加減にひっくり返りそうになりました。学生のすることに目くじらを立てるのは大人のすることではないという人もいるでしょうが、それでもあえて申し上げたいと思います。

「学生なんだから勉強しろ。単位を取れ。」

極論を言えば学生にとって勉強よりも大事なものはないです。授業そっちのけで大学祭の準備をすることが許されるとは思いませんし、少なくともそれをぬけぬけと公表し、恥ずかしいとも思わない感性を京都大学の一先輩として恥ずかしく思います。

「単位よりも大切ななにかを求めて」などというのは、中学生か高校生が「勉強よりも大切なものがある」と自己弁護するのと同様の青臭さです。

統一テーマ決定の経緯によると公募で集まったテーマの中から投票によって決定されたようですが、公募で集まってきたテーマから事務局がよいものを選べばよいのであって、わざわざ多数決で決める必要はないはずです。

勉強し、単位を取得するという学生の本分として核になる部分を持ちながら、さらに何かを求めるのが京都大学の学生としてあるべき姿です。もっと社会的な責任を果たすことを考えて行動すべきであり、その決意が現れるようなテーマを選択せよと敢えて苦言を呈しておきます。

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