Archive for 5月, 2008

5月 28 2008

京都市の子育て支援

何気なくポストに入っていたきょうと市民新聞をぱらぱらと見ていたら、妊婦健康診査公費負担の拡充(1回→5回)とありました。

「これは」と思い、いつからこの制度が始まるのか担当部署に問い合わせたところまだ本当に実施されると確定したわけではなく、6月5日の審議で決定すればなるべく早く実施したいとのことでした。今妊娠中の方にとっては気になるところですね。

京都市の妊婦健診の助成回数は、実は今まで全国の政令指定都市の中でも最低の1回だったのです。厚生労働省としては去年1月の時点で公費による助成回数は5回程度に増やすことが望ましいとという見解を通知しています。ところが、8月の時点では、全国平均で2.8回でした。公費助成は市町村単位で行われているため、その自治体の財政状態や熱意などによって格差があります。10回以上、すなわち全ての健診で助成が受けられるところもあります。1回の助成で5千円から6千円の助成金が出ることが多いようですが、「無料券」をもらえるところもあるそうです。生まれる前から格差社会です。ちなみに京都市は現時点では妊娠期間中に1回だけ6千円くらいの助成を受けられるという助成システムです。

07年度の国の予算編成では妊婦健診助成のための財源として、妊婦健診の助成を含む少子化対策に充てる地方交付税の配分額が700億円に倍増(06年は330億円)されました。このお金をきちんと少子化対策に使わずに他の事に使ってしまっている自治体もあるとか。まあどこも財政難なのでしょうが・・・

妊婦健診は、妊娠初期から妊娠23週までが4週間に1度、24週から35週までが2週間に1度、36週から分娩までは1週間に1度の健診を受けるのが基本です。だいたい妊娠期間中に13回から15回くらい受けることになるでしょうか。

1回の健診の支払いは5千円から1万円くらいで、感染症やら高い検査をうけると2万円を超えるときもあります。結構お高いと思います。健康保険が使えませんから助成がなければ全額自己負担です。

後期高齢者の保険料が問題になっていますが、妊婦健診のこの高額負担はあまり問題になりません。胎児は選挙権がないからでしょう。妊婦はしんどいのでデモをしたり陳情をしたりする気力も体力もありません。また、後期高齢者よりはるかに数も少ないのです。政治家が気をつかうような相手ではありません。

現在、そして今後しばらくの間社会福祉を支えていくのは団塊の世代ジュニアを中心とした現役世代です。30年くらいは何とかなるのかもしれません。そして、いよいよ団塊の世代ジュニアが引退したら今度は誰がいったい面倒を見てくれるんでしょうね。今の生活のことも大事ですが、30年後50年後を見据えて社会のシステムを構築していかなければならないと思います。

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5月 26 2008

歩いてきた褥創患者さん

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本日は海外出張中の後輩の代診で久々に褥創回診をしてきました。

新しく褥創ができてしまった方。

入院時にすでに褥創をお持ちの方。

せっかく治った褥創が再発してしまった方。

いろいろです。しかし、褥創ができるような状況に一度陥ってしまえば、そこから抜け出すのは困難で、褥創がなかなか治らなかったり、ひとりの患者さんに何ヶ所もできてしまったり、せっかく治ったところが急に再発したりすることもしょっちゅうです。

寝たきりになることが最大のリスクです。しかし歩いて外来にやってくる褥創患者さんを診たこともあります。歩けるのになぜ?と思って話を聞くと、アルコール依存症で栄養障害がある方でした。三度の食事よりもビールが好きだとか。栄養状態が悪く、ビタミン不足や肝機能低下によるタンパク合成障害、神経障害による感覚障害などがバックにあるのだと考えられます。

今までに何百人と褥創患者を診ていますが、歩いて外来にやってきた褥創患者さんはふたりだけで、そのふたりともアルコール依存症に伴う低栄養状態の方でした。定期的に通院していただきながら自分でもラップ療法ができるように指導しました。もちろん食事についても細かく指導しました。そうしないと、治るものも治りませんし、何回でも再発しますから。

それから、褥創にはラップ療法に加えて穴あきポリ袋+オムツを当てるという方法もあり、浸出液が多い場合に有効です。あまり医療品という感じがしませんね。ラップも穴あきポリ袋も医療品というより台所用品ですね。

褥創の処置も創部の評価とデブリドメン(壊死組織を外科的に切除する)以外は、介護の一環として処置をしていただくほうがきめ細かく処置ができると思います(特に仙骨部の処置はおむつ交換と同時に行うのが効率的ですよね)。もちろん医師の定期的な管理の下に行うべきですが。

これからも褥創患者さんは増えていくと思います。適切に、かつ効率よく対応していかなければいくらでも医療費を押し上げます。あまり一般には問題にされることのない「褥創」ですが、高齢社会の大きな問題としてもっと広く認識していただきたいと考えています。

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5月 19 2008

がん検診のありかた

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今日も京都予防医学センターで乳がん検診の視触診をしてきました。営業努力が実ったのか、最近は視触診のみの受診者の方があまりおられなくなりました。「営業努力」というのは視触診のみでは見落としの可能性も高く、超音波検査やマンモグラフィの検査もあわせて受診してくださいという医学的見地に立ってご指導させていただいたという意味です。以前は視触診のみの方が結構多かったので、受診者さんにひとりひとり超音波やマンモグラフィの重要性について説明させていただいていました。

今年の4月から導入されたメタボ検診は老人保健法で定められた保険者(健康保険組合など)の義務ですし、今までも行われていた事業主による健康診断は労働安全衛生法で定められた義務です。最低限行わなければならない項目が法律で定められています。

一方、がん検診は特に誰かが義務を負っているわけではないので事業主や健康保険組合が労働者や加入者にどのようながん検診のメニューを提供しようとも(提供しなくても)自由です。ただ、できる限り医学的に適切な内容を提供するほうがよいと思いますし、住民検診との整合性もつけたほうが良いと考えています。今は職域で行われるがん検診のデータは全く統合されておらず、どれくらい受診者がいて、どれくらいがんが発見されているのかなどという大きなデータを集計しようがない状態です。

例えば、京都市の乳がんの住民検診の受診率は平成18年度で7%くらいですが、職場の検診などでどれくらいの人が乳がん検診を受診したかなどというデータはまったくありません。職場によって検診メニュー、検診対象者も異なりますし、受診している医療機関もバラバラで、個人情報保護法などでデータの収集も困難なご時勢ですから、全くのブラックボックスです。

それでも何らかの形で職域の検診の実態を知りたいと考えています。

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5月 16 2008

国際緊急援助隊とアスベスト

Published by under アスベスト検診,救急

日本の国際緊急援助隊の援助チームの先発隊31人が15日の夜、北京国際空港に到着しました。中国側からは成都の北北東400キロの広元市青川県での救援活動を要請されたということで、援助隊は成都経由で16日の早朝に青川県に入り、救援作業に取りかかり、1週間活動する予定だそうです。後続部隊を含めると総勢は60人ほどになり、先発隊はファイバースコープなどを持参しており、後発隊が生命反応探査装置などを持参することになっています。その中には、新潟県中越地震で崖崩れの現場から坊やを救出した東京消防庁のハイパーレスキュー隊も含まれます。そのときのライブ映像を当時私は日本救急医学会総会に出席するために出張中の幕張のホテルでリアルタイムで見ていました。危険な環境の中、必死で救出活動を行う隊員の方々には本当に感動しました。

「病院に搬送するまでが勝負」というのは本当です。特にこういう災害時には。もちろん受け入れる医療者側も最善を尽くしますが、それ以前に運命が決まってしまうことも多いのです。

今回、国際緊急援助隊は地震発生と同時にただちに招集され、成田空港で待機していましたが、派遣要精がないということで一旦解散し、それぞれが原隊復帰していたのです。もう1日2日早く派遣できていたら、人命救助の可能性がより高かったであろうと思うと残念です。それでも国際緊急援助隊の方々には我々の代表として頑張っていただきたいと思います。御身に気をつけながら活動していただきたいと切に祈っています。

本日、建材用のアスベスト(石綿)でがんなどの健康被害を受けたとして、東京、埼玉、千葉の3都県の建設労働者と遺族ら178人が、国と建材メーカー46社に、被害者1人あたり3850万円、総額約66億円の損害賠償を求める「首都圏アスベスト集団訴訟」を、東京地裁に起こしました。石綿が様々な健康被害をもたらすというのは私が医学部の学生のときにも講義で聞いているので、少なくとも1990年代にはすでに医学的に常識になっていたのです。実際にアスベストが全面禁止になったのは2004年ですから、対策が後手にまわったことは否めない事実だと思います。アスベストは工業的に優れた性質を持ち、様々な用途に用いられていたためなかなか適当な代替品がなかったことも対応の遅れに影響しています。

ここで気になるのは、四川省地震で倒壊した建築物にアスベストが用いられていないのかということです。日本ほどアスベストの危険性が広く認識されているとは言いがたく、そもそも中国は生産量も埋蔵量も世界第三位なのです。青石綿の使用は禁止されましたが、温石綿は禁止されていません。

国際緊急援助隊の方々も専門家ですから防じんマスクを用意しておられると思います。しかし、アスベストは繊維が細かいので特に高いフィルター機能が要求されます。どの程度現地の建物にアスベストが使われているのかというデータがあるとは考えられません。耐震設計になっていないような建物が倒壊したと考えれば、石綿のような耐火材や断熱材は使われていないのかもしれませんが・・・

日本でも大規模な地震で建築物が倒壊した場合、アスベスト建材が含まれているかどうかが問題になるでしょう。建築・解体作業に携わる方々のみならず、我々の健康にも影響を及ぼす可能性があります。アスベスト訴訟の行方を見守り、行政の今後の対応をチェックしていきたいと思います。

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5月 15 2008

防じんマスク・防毒マスク

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本日は京都産業保健推進センターで行われた「労働衛生保護具の取り扱いについて」という研修会に参加してきました。

主に防じんマスクや防毒マスクの話でした。硫化水素自殺の際に救護者が被害にあうことが最近問題になっていますが、そういう有毒ガスを扱うときは適切な防護(マスク、ゴーグル、防護衣類など)をしなければなりません。また、マスクの着用訓練やフィット感の確認は重要で、適切に使用しなければせっかくの性能がみたされないという話でした。

また、医療者として気になるのはホルムアルデヒド(ホルマリン)です。平成20年3月1日より健康障害発生のリスクが高い化学物質として法規制が強化されました。作業環境測定の実施が義務付けられ、今までは管理濃度が未設定であったものが0.1ppmと定められました。

手術標本は基本的にホルマリンで固定しますので、標本整理室はいつもホルマリン臭がしていて、目は痛くなるし鼻はツーンとするしで手術後の標本整理は苦痛な作業でした。絶対健康に悪いと思っていたので、私にとってはいまさらという感じです。発がん性もあるし、呼吸粘膜の組織変性、化学物質過敏症、喘息やアトピー性皮膚炎などにもかかわっているという報告があります。

今後、換気対策と個人の曝露防止対策の両方が必要になります。部屋の換気システムはプッシュプル型が推奨されます。吹き出し気流と吸い込み気流により一方方向に気流を維持し、効率よく換気を行う方法です。扇風機の対面に換気扇を置くようなイメージでしょうか。

また、個人でも防毒マスクやゴーグルを装着するのもよいのですが、ホルマリンの入った容器をきちんと密閉しておく、ホルマリンの付着した紙などを廃棄するときのゴミ箱は密閉型のものにするなど小さな心がけでもかなり部屋のホルマリン濃度は低下するそうです。

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5月 13 2008

子どもの心肺蘇生法講習会

本日は京あんしんこども館というところで小さな子どもの心肺蘇生法講習会に参加してきました。一般向けの講習会で、若いお母さんが20人くらい集まっていました。託児もしてもらえるので集まりやすかったようです。

前半は京都第二赤十字病院の小児科の先生の講義でした。なかなか興味深い内容だったためか、居眠りをする人もおらず熱心に聞いていました。授乳しながら講義に参加しているつわものもいてちょっと驚きました。

1歳から14歳までは死亡原因の第1位は不慮の事故で、その内訳は交通事故、溺水・溺死、窒息などとなっています。いざというときには救急車を呼ぶより先に心肺蘇生をすぐに始めなければなりません。呼吸停止後、何も手当てをしないと4分後の救命率は50%、5分後には25%にまで下がってしまいます。救急車はだいたい平均で5~6分で到着しますがこの時点まで呼吸が止まっていれば救命率は著しく低下します。

講義をしてくださった先生によれば、実のところ病院に到着するまでが勝負だということです。「どの病院に行くか」「どの先生に診てもらうか」ではなく、いかに迅速に蘇生法を行うかが救命できるかどうかの鍵であるということを強調しておられました。この辺は医師として同感です。

その後、赤ちゃんのダミー人形(3ヶ月の乳児だそうです)を使って心臓マッサージと人工呼吸の練習をしました。私は大人の人形では何度か練習したことがありますが、子どもは初めてでした。なかなか良い経験になりました。また、もちろん病院に搬送されてきた成人患者さんに心肺蘇生をしたことは何度もありますが、病院にはいろいろ道具がありますのでマウス・トゥー・マウスの人工呼吸は行いません。

自分の家族ならマウス・トゥー・マウスでも人工呼吸できると思いますが、見ず知らずの人にするのには結構抵抗感がありますね。感染症の問題もあります。念のため私は直接口をつけずにマウス・トゥー・マウスができるように、常日頃、専用のフェイスシールドをキーホルダーとして家の鍵につけて持ち歩いています。

まあ、とにかく30回心臓マッサージをして、2回人工呼吸というサイクルを繰り返せばよいのです。子どもと大人では少々力加減が違うくらいで、基本的に蘇生法自体は同じです。

そのあと、子どもの不慮の事故、特に家庭内で起こる事故についてどのようなことを注意したらいいのかを実際の目で見ることができるモデルルーム(セーフティハウス)を見学しました。風呂場やトイレがいかに子どもにとって危険か、どうすれば事故を避けられるかなど具体的に展示してありました。また、子どもが誤飲して窒息するようなおもちゃにはどのようなものがあるか(直径39mm以下のものは手の届かないところに置かなければならない)、実際に誤飲して日赤病院に搬送されてきた症例のそのおもちゃやレントゲン写真を見ることができました。なかなかインパクトがあります。

このような施設はここにしかないのだそうです。なかなか興味深い施設でした。京都市もユニークなことをするものです。

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5月 12 2008

乳がん検診

Published by under 乳癌検診

先週はゴールデンウィークでお休みだったのですが、本日は久々に京都予防医学センターで乳がん検診のお仕事でした。子宮頸癌の癌検診担当の婦人科の先生も女性医師で、丁寧にお話しながら検診をされていました。女性同士だと話しやすいのか受診者の方々もこまごまと相談しておられました。診察時間が長くなりがちですが、せっかくの機会なのでちょっとしたことも聞けるほうがやっぱりいいと思います。

センターの乳がん検診受診者の方を対象にアンケートを実施していますが、乳房の診察は女性医師にしてもらいたいという希望がかなり多いです。もっとも、視触診のみではなかなか早期発見は難しいので、マンモグラフィや超音波の検査をあわせて受けていただきたいといつも説明しています。

マンモグラフィが痛いという意見も多いです。確かに痛いです。乳房を板にはさんで圧迫してレントゲン写真を撮るのでどう考えても痛いですよね。

しかし、このマンモグラフィによる乳がん検診というのは精度管理がかなりきっちりしていますので、痛いのをちょっと我慢して受けていただく価値はあります。施設、技師、読影医師がそれぞれマンモグラフィ検診精度管理中央委員会というところで認定を受けるのです。技師や医師は講習会に参加して試験を受け、その結果により認定されます。定期的に講習会や試験を受けなおして更新することになっています。さらに読影はふたりの医師が別々に行いより精度を高めています。もっとも、マンモグラフィ検査をしている施設・技師・医師が全てそのような認定を受けているわけではないのでそのへんは受診される前にご確認いただいたほうがよいと思います。

それから、しこりが気になるなどの症状のある方は検診ではなく乳腺外来を受診してください。検診に来られても結局要精査になりますので時間のロスになります。

また、検診としてマンモグラフィが乳癌による死亡率を下げることができるという証拠があるのは40歳代以上の話で、20代や30代についてはマンモグラフィが有効なのか超音波検査が有効なのかはまだ結論が出ておりません。

京都市の住民検診では30代は隔年で超音波検査を受けることになっています。その検診で乳癌が発見されたのは平成18年度で0.02%、3人でした。

20代の乳癌はまだ少ないので集団で検診を受ける意味があるかどうかは難しいところだと思いますが(もちろん乳癌が心配だという若い人が個人的に受診するのはかまわないと思います)、30代、特に35歳以上の乳癌は増加傾向にあり珍しくないので集団検診の意義はあると思います。シビアな見方をすれば費用対効果を細かく計算しなければならないのですが・・・

問題はどの検査を選ぶべきかということなのですが、もちろんマンモグラフィと超音波検査を両方受けていただくのがよいと申し上げています。しかし、なかなか費用面など難しいところがありますので40歳以上はマンモグラフィ(+超音波)、30歳台以下は超音波(+マンモグラフィ)といったところでしょうか。若い人の乳腺は密度が高いのでマンモグラフィの画像に真っ白に写ってしまって癌の所見が隠れてしまう可能性があります。マンモグラフィと超音波のどちらが優れた検査か、というのは乳腺の状態などにもより、一概には言えません。

少なくとも自己検診を定期的に行い、しこりや分泌物があったときにはすぐに受診することが大事です。乳腺組織もホルモンの影響を受けますので、生理前にお乳が張って少し痛みを感じるような人もいます。自己検診はそのような時期を避けて生理終了3~5日後くらいのタイミングで毎周期ごとに行うようにしてください。閉経後は月に一度日を決めて行うのがよいと思います。

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5月 11 2008

メタボ検診

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本日名古屋国際会議場で行われた産業保健実践講習会に参加してきました。京都から名古屋までは新幹線で30分あまりなので結構便利です。

日本医師会認定産業医の資格取得のためまたは産業医の資格更新のための単位をもらえる講習会で、かなり盛況でした。

何度も産業医の講習会に参加していると、同じ話題について何度も聞く機会があります。今まで何度聞いてもシステムがよくわからなかった高齢者医療法による特定健康診査(いわゆるメタボ健診)と職場の労働安全衛生法による定期健康診断の違いがようやく理解できました。

今までも事業者(勤務先)は労働者に対して1年以内ごとに1回の定期健康診断を行うことが義務付けられていましたが、これは特にメタボ対策というわけではなく労働者の健康状態を把握したり適切な配置が行われているかを確認したり、過労による疾病などがないかチェックしたりするためのものでした。

平成20年4月1日より、保険者(健康保険組合)は、40歳から74歳の被保険者及び被扶養者(つまり労働者も非労働者も含め、健康保険に加入している一般の全ての人)に対して、特定健康診査(いわゆるメタボ健診)を行うことが義務付けられました。

ということは、40歳から74歳の労働者は定期健康診断とメタボ健診の両方を受ける義務があるわけです。しかし、それでは二度手間だということで、40歳から74歳の労働者については労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目を少し変更してメタボ健診の項目を包括させるようにして、メタボ健診を改めて受けなくてもいいようにしてあるということでした。

なるほど。

今までの定期健康診断では事業主は保健指導を行う義務はなかったのですが、メタボ健診のほうは健診結果に一定以上の異常所見があれば保険者は特定健康指導を行う義務があります。被保健者は医師や保健師などに生活習慣などについての指導を受けるということになります。

この特定健康指導によってメタボやメタボ予備軍が目標どおり減少させられなければ、保険者に対する『後期高齢者医療制度』への国の拠出金が最大で10%減らされ、うまくいけば10%上乗せしてしてもらえるという、保険者にとっては飴とムチつきの制度です。厳しいですね。

健康指導によってきちんと生活を改める人もいれば、指導されても好きなように生きていくぞ、大きなお世話だという人もいます。健康に気をつけていても病気になることはあるし、勝手気ままに不摂生しながら生きていても天寿を全うする人もいます。

ただ、節度ある健康的な生活を送っている人の方が確率的に病気になりにくいのはわかっているのですから、そういう努力をしてみても良いのではないでしょうか。

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5月 10 2008

中皮腫による死亡年次推移

Published by under アスベスト検診

平成19年9月7日の厚生労働省発表資料より、全国の中皮腫による死亡年次推移のグラフを作成してみました。


全国の中皮腫による死亡年次推移
中皮腫による死亡者数は漸増しています。石綿に曝露して30~50年後くらいで中皮腫を発症するといわれています。日本では1968年ごろから石綿の大量消費が始まり、93年ごろから激減しており、2004年に原則禁止されました。ということは、これからまだまだ中皮腫の患者数が増加する可能性があるということです。職業上の石綿の使用については厚生労働省、一般の人の石綿曝露については環境省が管轄になっています。

中皮腫といっていますが、最も多いのは胸膜中皮腫です。胸膜というのは、肺の表面、胸郭の内側を覆っている膜のことで、一層の中皮細胞という細胞でできています。胸膜中皮腫は主に壁側胸膜(胸郭の内側の膜)に発生する悪性腫瘍です。

5年生存率は手術症例のうち1割程度といわれており、たいへん厳しいものです。もちろん早期に発見できて手術できればもう少し生存率の向上が見込めますので早期発見にこしたことはありません。われわれは血液検査で中皮腫を早期診断できる検査法を開発中です。

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5月 02 2008

中皮腫の発症前診断

Published by under アスベスト検診

今日、アスベスト検診についてディスカッションしている最中に何気なくインターネットで検索したら、YOMIURI ONLINEで中皮腫の発生前診断についての記事を見つけて驚きました。しかも偶然今日の記事。

中皮腫の原因としてアスベスト(石綿)曝露はよく知られています。アスベスト使用は法律で禁じられましたが、中皮腫はアスベストに曝露して30年くらいしてから発病するといわれているので、これから増加していくと考えられています。

今回の記事では、順天堂大チームが中皮腫の患者の血液中で濃度が高まる特殊なたんぱく質を発見し、発症前の診断に利用する検査法を開発したのだそうです。

実は我々も中皮腫の患者の血液中で濃度が高まる別のたんぱく質を発症前の診断に利用する検査法を開発中です。しかも、順天堂大チームと共同研究を行うべく連絡を取ったり、つい先日も研究室を訪問させていただいたところでしたから、驚きです。

京都府のアスベスト対策は

http://www.pref.kyoto.jp/taiki/astop.html

京都市のアスベスト対策はhttp://www.city.kyoto.jp/hokenfukushi/iryou/kohos/ishiwata.html

となっています。どちらもあまりアクティブな感じではありません。石綿曝露者が少ないのかもしれません。このへんのデータをわれわれも知りたいと思い、現在情報収集中です。

比較対象として東京はどうかと調べてみるとかなり頑張っています。http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kaizen/keikaku/asbestos/

を見ると、今年に入ってからも国の関係省庁や関係団体にアスベストに対する適切な対応を要請したりしています。さすが東京。

われわれも含めて京都ももっと自己主張したほうが良いのかもしれません。

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