Archive for the '産業医' Category

8月 18 2010

キャリアカウンセリング(産業医研修会)

今日は午後から産業医講習会を受講してきました。産業医資格更新のための研修会なので、基本的には産業医資格を持っている人ばかりです。

キャリアカウンセリングの視点からメンタルヘルスを考える、というテーマでした。本当は午後からは休養に当てようかと思うくらい疲れていたのですが、テーマも面白そうだったので頑張って参加してきました。

今の私自身に大変有益な話で、結果的に頑張って参加してきた甲斐があったと思っています。

自分が思い描いていたキャリアの将来像が、予期せぬ環境変化や状況変化により短期間に変化してしまうキャリアショックに対応できずに思い悩み、就労意欲をなくしたり、ひどいときにはうつになったり退職したりしてしまうことがあるということです。

もちろん人生には様々な転機が次々に起こってくるので、これを乗り越える努力や工夫を通じてキャリアが形成され、開発される・・・と考えれば、例えば女性医師が出産や育児などのライフイベントに伴い勤務を継続するためにいろいろと奮闘すること自体、長い目で見ればキャリア形成の重要なプロセスということになります。ただ適応しきれずにひとりで悩むことは十分に考えられますし、そこでキャリアカウンセリングの必要性があるのだと感じました。

また、役職が上がるにつれ、業務遂行能力に加えて対人関係能力、マネジメント能力などが問われることも多くなり、これらの能力に自信がないとストレスを感じるようになる ということです。30代後半から40代前半の人が大体この壁にぶつかって悩むケースが多いとか。

医師で言えば実際の診療技術や知識に加えて患者さんや周囲の医師,コメディカルとのコミュニケーション能力、さらに組織のマネジメント能力も問われるようになっていく、ということでしょうか。

さらに、外的キャリア(経歴・役職・年収・肩書きなど外から見えるもの)と内的キャリア(価値観や人生観といった心理的側面)を整理して将来設計をすることをキャリアデザインと呼びます。これらのバランス・調和が重要です。外的キャリアを追求しすぎても内的キャリアとのギャップが大きくなりすぎて満足できないし、内的キャリアを追求しすぎてもマニアックすぎて「職業」として成り立たなくなる、という難しいところです。

ここで、自分がどのようなライフスタイルを望むかというチェックリストをやってみました。33の項目(華やかな生活、優雅な生活、健康な生活・・・などの項目)のうち自分が重要視する項目にチェックを入れ、さらにその中から3つを選ぶというものでした。

私が選んだのは「安定した生活」「優雅な生活」「健康な生活」ということで、外科医の生活とは全く対局にあるものばかりで実のところ少々ショックを受けました。

職業を選択するときに(我々医師で言えば診療科を選択するときにも)、こういう自分の本心をのぞいてみることは重要かもしれません。職業を選択する時点ではまだ人生経験も少なく、自分の能力や適性、どのような生き方を望むかについてよくわかっていないことが多いのです。

職業人として中堅どころになってくるとキャリアアンカーがはっきりしてくるのだそうです。キャリアアンカーとは,個人が選択を迫られたときに、その人が最も放棄したがらない欲求、価値観、能力(才能)で、長期的な職業生活において拠り所になるものです。キャリアアンカーをしっかり認識しておくとキャリアに関する意思決定がしやすくなります。キャリアアンカーもいろいろ考えられるでしょうが、研修会で提示されたのは

専門・職務別能力
経営管理能力
自律・独立
保障・安定
起業家的創造性
奉仕・社会貢献
純粋挑戦
生活様式(ワークライフバランス)

です。なるほど、どこに価値をおくかでどのような働き方をするか変わってくるかは当たり前のことですね。

キャリアカウンセリングは予期しない出来事や予期しない好機、仕事以外に考慮すべきほかの分野などを考慮しながら螺旋的に進むものであるということ、また最終的にどうなるかはわからないけれど予測不可能なことを受け入れながら流動的にキャリアを形成していき、人生の役割のそれぞれが組み合わさって意味のある全体が出来上がるという生涯キャリア発達理論(L・サニー・ハンセン)を紹介されて研修会は終わりました。

まとめれば
・キャリアは直線的に形成されるものではなく、様々な転換点を経て紡ぎあげていくものである
・自分の心の声(何に価値をおくか)を常に自問自答すべきである。
・キャリア形成の過程で悩むことがあればキャリアカウンセリングなどにより適材適所の働き場所・働き方を模索する必要がある
・人生における様々な役割を統合し、キャリアを形成していく(仕事だけが重要なのではない)
というのが私の理解です。

なかなか有意義な話でした。漠然と自分で考えていたことが明瞭化したという意味においてです。まとめてしまえば簡単なのですが、自分ではなかなか考えをまとめきれないし、「専門家の言葉」というのも重要だと感じました。

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7月 08 2010

産業医講習会(日本医師会)

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日本医師会主催の産業医講習会に参加しております。2日半、日本医師会館に缶詰で、朝から夕方まで講義を聴かなければなりません。

日本医師会館は駒込にあります。ちょっと東京駅からは遠くて地方からの参加者には不便です。それより、こういう講習会っていずれE-learningになっていくべきでしょうね。

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連続して2日半缶詰になる理由が何処にもありません。2時間ずつくらい何コマかとれば良いと思うのです。途中でチェック項目やその回答などを加えてちゃんとお勉強しているか確認すれば良いでしょう。

この講習会は産業医の資格更新のためのものなので、集まっている人たちはすべて産業医ということになります。実はこの講習会に全て参加すると労働衛生コンサルタントの筆記試験が免除になるというのが「売り」なんですね。地域の医師会主催などの講習会を受講しても産業医更新の単位はそろいますが、この労働衛生コンサルタント筆記試験免除ということにはなりません。

法律や制度上の話はやはり苦手なのですが、メンタルヘルスに関する精神科の先生が講義はこまごましたところまで興味深く話を聞きました。

最後に質問というか提言で、最近メンタルヘルスに関する対応が求められるが、本当に厳密に診ようとすると精神科のドクターしか仕事ができなくなってしまう。医師会として企業側に精神科以外の産業医もメンタルヘルスに関して勉強しているのだということを訴えて欲しいという発言がありました。

実際私も産業医の仕事の話があるたびにこのメンタルヘルスに関して細かく聞かれます。精神科医と同等の力量があるかと言われれば、ないと言わざるをえません。 職場のメンタルに関するプライマリケア医として、精神科医へのゲート的役割を果たせればそれで良いのではないかと思っています。

ケース検討みたいなE-learning教材を作れば勉強になるのに、と思っています。

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10月 22 2008

日本医師会認定産業医

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私事で恐縮ですが、9月30日付で日本医師会認定産業医に認定されました。

講習会にたくさん行きました。京都ばかりでなく、大阪、横浜、名古屋、奈良、大津などあちこちの講習会に顔を出しました。

面白い講義もあり、面白くない講義もありましたが、普通に医者の仕事をしているのとは全く違う視点を得ることができたように思います。

産業医は労働者の健康と安全を守る仕事をしつつ、企業側に雇われる立場でもあるという微妙な立場です。しかし、予防医学という観点から、これからさらに労働者側に立った仕事が増えていくのではないかと思われます。特に最近はメンタルヘルスの問題が重視されており、講習会でもしばしば話題になりました。

まだこの資格を生かすチャンスはありませんが、機会があったら是非産業医の仕事もしてみたいと考えています。

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5月 15 2008

防じんマスク・防毒マスク

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本日は京都産業保健推進センターで行われた「労働衛生保護具の取り扱いについて」という研修会に参加してきました。

主に防じんマスクや防毒マスクの話でした。硫化水素自殺の際に救護者が被害にあうことが最近問題になっていますが、そういう有毒ガスを扱うときは適切な防護(マスク、ゴーグル、防護衣類など)をしなければなりません。また、マスクの着用訓練やフィット感の確認は重要で、適切に使用しなければせっかくの性能がみたされないという話でした。

また、医療者として気になるのはホルムアルデヒド(ホルマリン)です。平成20年3月1日より健康障害発生のリスクが高い化学物質として法規制が強化されました。作業環境測定の実施が義務付けられ、今までは管理濃度が未設定であったものが0.1ppmと定められました。

手術標本は基本的にホルマリンで固定しますので、標本整理室はいつもホルマリン臭がしていて、目は痛くなるし鼻はツーンとするしで手術後の標本整理は苦痛な作業でした。絶対健康に悪いと思っていたので、私にとってはいまさらという感じです。発がん性もあるし、呼吸粘膜の組織変性、化学物質過敏症、喘息やアトピー性皮膚炎などにもかかわっているという報告があります。

今後、換気対策と個人の曝露防止対策の両方が必要になります。部屋の換気システムはプッシュプル型が推奨されます。吹き出し気流と吸い込み気流により一方方向に気流を維持し、効率よく換気を行う方法です。扇風機の対面に換気扇を置くようなイメージでしょうか。

また、個人でも防毒マスクやゴーグルを装着するのもよいのですが、ホルマリンの入った容器をきちんと密閉しておく、ホルマリンの付着した紙などを廃棄するときのゴミ箱は密閉型のものにするなど小さな心がけでもかなり部屋のホルマリン濃度は低下するそうです。

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5月 11 2008

メタボ検診

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本日名古屋国際会議場で行われた産業保健実践講習会に参加してきました。京都から名古屋までは新幹線で30分あまりなので結構便利です。

日本医師会認定産業医の資格取得のためまたは産業医の資格更新のための単位をもらえる講習会で、かなり盛況でした。

何度も産業医の講習会に参加していると、同じ話題について何度も聞く機会があります。今まで何度聞いてもシステムがよくわからなかった高齢者医療法による特定健康診査(いわゆるメタボ健診)と職場の労働安全衛生法による定期健康診断の違いがようやく理解できました。

今までも事業者(勤務先)は労働者に対して1年以内ごとに1回の定期健康診断を行うことが義務付けられていましたが、これは特にメタボ対策というわけではなく労働者の健康状態を把握したり適切な配置が行われているかを確認したり、過労による疾病などがないかチェックしたりするためのものでした。

平成20年4月1日より、保険者(健康保険組合)は、40歳から74歳の被保険者及び被扶養者(つまり労働者も非労働者も含め、健康保険に加入している一般の全ての人)に対して、特定健康診査(いわゆるメタボ健診)を行うことが義務付けられました。

ということは、40歳から74歳の労働者は定期健康診断とメタボ健診の両方を受ける義務があるわけです。しかし、それでは二度手間だということで、40歳から74歳の労働者については労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目を少し変更してメタボ健診の項目を包括させるようにして、メタボ健診を改めて受けなくてもいいようにしてあるということでした。

なるほど。

今までの定期健康診断では事業主は保健指導を行う義務はなかったのですが、メタボ健診のほうは健診結果に一定以上の異常所見があれば保険者は特定健康指導を行う義務があります。被保健者は医師や保健師などに生活習慣などについての指導を受けるということになります。

この特定健康指導によってメタボやメタボ予備軍が目標どおり減少させられなければ、保険者に対する『後期高齢者医療制度』への国の拠出金が最大で10%減らされ、うまくいけば10%上乗せしてしてもらえるという、保険者にとっては飴とムチつきの制度です。厳しいですね。

健康指導によってきちんと生活を改める人もいれば、指導されても好きなように生きていくぞ、大きなお世話だという人もいます。健康に気をつけていても病気になることはあるし、勝手気ままに不摂生しながら生きていても天寿を全うする人もいます。

ただ、節度ある健康的な生活を送っている人の方が確率的に病気になりにくいのはわかっているのですから、そういう努力をしてみても良いのではないでしょうか。

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4月 09 2008

過労死を防ぐために

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本日、愛知県医師会主催の日本医師会認定産業医研修会に参加してきました。テーマは「長時間労働者への医師による面接指導の手法」です。

長時間労働は心身の健康を損ねる要因になります。生活習慣病を悪化させ、過労死を引き起こす可能性もあります。産業医は長時間労働者に面接を行った上で、事業主に助言を行う義務があります。

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