Archive for the 'ワークライフバランス' Category

8月 25 2010

くるみん(次世代認定マーク)って何?

労働政策研究報告書を読んでいると、くるみん(次世代認定マーク)なるものが出てきたので何かと思って調べてみました。

次世代育成支援対策推進法により、事業主が従業員の子育て支援のための行動計画を策定・実施し、その結果が一定の要件を満たす場合に、厚生労働大臣の認定を受けることができます。認定を受けると、認定マークを商品等につけることができるのだそうです。そのマークの愛称がくるみんなのだそうです。

はじめて知りました。見たことのないマークです。平成19年に決定したので3年以上前からあるマークなんですね。
厚生労働大臣が認定するんだったら、病院も取得を義務付けたらいいのにと思いました。くるみん取得病院は診療報酬がアップするとか。病院は次々に認定を受けようと画策し、様々な育児支援を打ち出し、くるみん取得病院に若手医師が殺到して医師過剰になり病院が嬉しい悲鳴を上げる・・・そういう効果があればいいのですが、今のところ残念ながら私の妄想です。

マークとか認証とか、どれくらいの費用対効果があるんでしょうか?何らかのインセンティブがないとわざわざ取得しようとは思いませんよね。

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7月 15 2010

医師のワークライフバランスに関する調査結果

本日、今年3月に実施した京大病院医師のワークライフバランスに関する調査研究の集計について経済研究科の共同研究者たちとディスカッションをしてきました。

京大病院医師の全体的な傾向としては、診療環境や診療の質については概ね満足しており、個人的には向上心が強いが、労働時間が長すぎて過労傾向にあること、報酬については大いに不満を持っていること、また研修医は十分トレーニングを積む機会がないと感じていることなどが挙げられます。

概ねプロフェッショナルとしての誇りを持って働いている集団であると言えそうです。ただ、そのプロフェッショナルに対して十分な待遇が与えられていない可能性が示唆されます。

プロフェッショナルの語源は、“profess(宣誓する)”という言葉からきており、神に対して告白、宣誓した人や神の託宣を受けた人を指していました。つまり、最初は聖職者のみを指し、それが裁判官や医師に広がったそうです。「神に誓いを立てなければならないほど厳しい職業である」という意味で、高い倫理観と社会的規範を持たなければならない職種と言えそうです(最近ではアマチュアに対するプロ、という安易な言葉になってしまっていますが)。

医師が高い倫理観と社会的規範を維持するためには、継続的な教育とある程度の待遇(貧すれば鈍す)が必要なのではないかと感じています。

教育、というのは診療技術や最新の医学知識ももちろんですが、社会や経済、疫学、世の中の動向なども含めて知る必要があると思います。そうしなければ社会的規範の構築がかなり偏ったものになってしまいます。そもそも医師は忙しすぎて診療現場以外で社会とつながることが少ないです。

また、長時間勤務の制限による睡眠時間の確保、ある程度の報酬保証によるアルバイト減も必要です。アルバイトに行けばその分労働時間が増えますし、留守中の研修医の指導がおろそかになります。医療安全上も大いに問題だと思います。
(私の大学病院での手取り報酬が月額12-15万円くらいです。週4日勤務で当直や時間外をつけていないことと、部分休業により勤務時間を1日あたり1時間15分短縮していることもありますが、それにしても生活できる金額ではありません・・・そもそも子どもふたりの保育料が月額11万円ですから)

大学病院は特殊な世界なので、一般的な話をするために今後このような調査研究を広く行おうと思っています。私は京都府医師会勤務医部会幹事をおおせつかったので、そういう場でも展開してみようかな、と考えています。

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4月 09 2010

京大病院医師ワークライフバランス調査研究について

京大病院の全医師を対象にしたワークライフバランスに関する調査研究ですが、ほぼ調査票の回収が終了しました。

回収総数は204通でした。対象が641名(3月1日現在の医師総数643名-他の病院に出向中の研修医2名除く)なので回収率はざっと31.8%になります。

ひょっとして見向きもされないかもしれないと危惧していましたが、まずまずの回収率でした。

ご協力してくださった皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

現在もろもろ書類作成や明日の学会準備などで全く集計作業ができていませんが、来週以降集計・解析作業の準備にかかろうと思っています。

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3月 18 2010

調査実施

京大病院医師のワークライフバランスに関する調査票を本日大学病院で配布開始いたしました。

自分でも夜な夜な封筒にラベル貼りをし、また周囲の皆様にお手伝いをいただき、無事に本日配布できたのでちょっと安心しました。なんとか年度中にやってしまいたかったので。

今度は回収後の集計、解析の準備に取り掛かります。

たくさん回収できるとよいのですが…なかなかこういう調査研究は回収率が低くなりがちです。特に、以前倫理委員会の審査に際して、各部局で取りまとめをしてもらうと心理的圧力になるのでよくないという指摘を受け、学内便で配布して学内便で回収するという無機的な手続きにしているので、なかなか回収率は伸びないことが危惧されます。

京大病院の先生方にはぜひご協力いただきたいと思います。

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3月 13 2010

京大病院医師のワークライフバランスに関する調査研究

京大病院医師対象のワークライフバランスに関する調査研究について倫理委員会の審査が終了し、医学研究科長と病院長決裁にまわっていましたが、昨日付けで決裁が下りました。

来週中に調査票を配布し、実施しようと思います。しかし、640名余の医師がなんと50以上の部署に分かれて所属しており、どうやって全員に配布すればよいのやら ・・・

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12月 06 2009

医師の勤務について

先月13日に私の記事が京都新聞に掲載されたのを紹介するのを忘れていました。

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女性医師支援の話題とこの「京都の医療を考える若手医師の会」について軽く触れた内容で、という依頼だったのでこんな感じにおさまりました。

私自身は恵まれた環境で仕事をさせてもらっていると思うのですが、それでも時間に追い立てられるように働き、落ち着いて物を考える暇がありません。
ミスや指示漏れがないようにするのが精いっぱいで新たに勉強をしようとかトレーニングを積むという臨床医としての向上の機会を確保できずにいます。守りの状態です。

日進月歩の業界でこれではまずいです。
医師の仕事が多すぎると、ミスが増えますし、医師技術・知識の向上すなわち医療の質の向上の機会も得られないということです。女性医師だけの問題ではありません。

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10月 27 2009

就労形態ワーキンググループ会議

昨日、京都大学女性研究者支援センターにおける就労形態WG会議に出席してきました。私は就労形態WGの推進員をしております。

京都大学でも男女共同参画推進アクション・プランというのを打ち上げて男女共同参画を進めるぞ!という意気込みを示しています。ただ、どれだけ実効性が伴うのかはまだわかりませんので、今後ウォッチしていこうと思います。

今まで、男女共同参画というと女性教職員の支援、特に育児支援のような感じでしたが、この高齢社会を反映して、「介護」も重要な問題になってきています。

親の介護をするために休学ないし退学を考えている学生すらいるというのです。もちろん教職員でも介護と仕事の両立に悩む人はいるでしょう。

完全に研究や就業をオフにしてしまうのではなく、部分休業のような形で細々とでも継続していき、いずれ再開する可能性を残せるような体制作りが必要です。

ただ、京都大学独自に決められることと、文科省などとの調整が必要なことがあります。また、せっかく体制ができても、広報が不十分だと利用してもらえませんので、広報も重要です。

私が日々実感するのは、京都大学の教職員といえども、さまざまな雇用形態の人がいるということです。利用できる休暇や支援内容、サービスなどにも差があります。自分がどういう立場で雇用されているかということを知るために就業規則などを見るのも大事だと思うのですが、なかなかそこまで細かくチェックしている人は少ないと思います。

・・・会議に出席したために午後の業務まで時間がなくなり、昼食を食べ損ねてしまいました。実は私も部分休業で短時間勤務をしていますので、限られた時間内で仕事をなんとかこなそうと日々努力しています。

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9月 29 2009

ワークライフバランスという観点

久々にワークライフバランスに関するミーティングを行いました。今後の調査研究に使用する調査票を作成していたのですが、理論構築があいまいであるという共同研究者の指摘を受け、再度概念図から作成しなおすことになりました。

アンケート調査といえど、ただ適当に項目を並べればよいというものではないのです。仮説を論理的に証明できるような内容であること、先行研究を参考にしつついかに新しさを出すか・・・

私が今まで作成してきたアンケート内容がいかに適当だったか恥ずかしくなってきました。

ワークライフバランスという観点がはたして医療の現場になじむのか、実験的な施策提案を目指しています。

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9月 20 2009

医師が元気に働くための7カ条

日本医師会が、医師が元気に働くための7カ条なるものを定めてリーフレットを作成しています。

その1 睡眠時間を充分確保しよう
最低6時間の睡眠時間は質の高い医療の提供に欠かせません。
患者さんのために睡眠不足は許されません。

その2 週に1日は休日をとろう
リフレッシュすればまた元気に仕事ができます。
休日をとるのも医師の仕事の一部と考えましょう。

その3 頑張りすぎないようにしよう
慢性疲労は仕事の効率を下げ,モチベーションを失わせます。
医療事故や突然死にもつながり危険なのでやめましょう。

その4 「うつ」は他人事ではありません
「勤務医の12人に1人はうつ状態」。
うつ状態には休養で治る場合と,治療が必要な場合があります。

その5 体調が悪ければためらわず受診しよう
医師はとかく自分で診断して自分で治そうとするもの。
しかし,時に判断を誤る場合もあります。

その6 ストレスを健康的に発散しよう
飲んだり食べたりのストレス発散は不健康のもと。
運動(有酸素運動や筋トレ)は健康的なストレス発散に最も有効です。
週末は少し体を意識的に動かしてみましょう。

その7 自分,そして家族やパートナーを大切にしよう
自分のいのち,そしてかけがえのない家族を大切に。
家族はいつもあなたのことを見守ってくれています。

・・・・・・
リーフレットは、誰に配布されるのかな?

患者さんのために睡眠不足は許されませんと言われても・・当直明けで睡眠不足でも手術に入らなければならない時、どうすればよいのか・・・

週に1日は休日をとろう・・・本来2日あってしかるべきなのに・・・1日「は」ってことは1日すらない医者がいるってこと・・・

頑張らないとやっていけないし・・・

12人に1人はうつ状態・・・

体調が悪くてもなかなか医者にかかれないし・・・

当直の晩、夜中2時3時に食べるこってりラーメンのうまいことうまいこと・・・翌日胃がもたれるけど・・・めったにない休日に運動ってあまりやる気がしないし・・・

自分のいのちを大切にってそんなこと心配されなきゃならないのか・・・家族のためにもうちょっと休日を確保できるといいな・・・自分のために1日、家族のために1日、それで週2日の休日・・・

この7カ条を見ただけでちょっと萎えてしまいました。これは医師個人に向けられたものなのか、病院に向けてなのか、行政に向けてなのか、一般の方々に向けてなのか、よくわからないからです。

文体からは医者向けのようですが、この7カ条を医者が現在の医療体制のままで素直に守ったら(守れるものなら守りたい!)現場は大混乱し、外来患者さんも入院患者さんも、手術予定の患者さんもすごいことになります。

患者さんだって不健康な医者に診てもらいたくないと思います。この7カ条を守って仕事ができるような体制作りを目指さなければなりません。

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7月 28 2009

多様な正社員

今日テレビをふと見ると、癌患者さんはそれまで勤めていた仕事を継続することが困難になるというテーマの番組をやっていました。

雇用形態を正社員から契約社員に変更せざるをえなくなったり、あからさまな退職勧告を受けたりすることがあるというのです。

入院して抗癌剤治療や手術を受けて退院した後も、しばらく家で静養したり外来に定期的に通わなくてはならなかったりすることで、なかなかそれまでと同じような勤務ができないためです。もちろん、体の調子も病気になる前よりは不安定だということもあるでしょう。

そういう人のバックアップ体制が小規模の企業ではなかなか難しいということです。週に5日ではなく、3日勤務にするとか、1日8時間ではなく6時間とか時短制を導入するとかそういう勤め方をする正社員というものを想定していないのです。

経済情勢が厳しいご時世ですから企業としてはフルタイム「使える」社員を望むという経済的な事情に加えて、私には周りの「想像力の欠如」があるのではないかと思います。短い時間しか働けない人のバックアップをすることに不満を持つ同僚がいるでしょうから。やむを得ないところもあるでしょうが・・・

どこかで聞いたような話です。

女性医師が勤務を継続しがたい現状とよく似ています。

時短とか、週3日勤務などの勤務形態をとる社員に対し、給与面でフルタイムの社員と差をつけつつも、あくまでも正社員として扱うということは重要ではないでしょうか。

健康保険・厚生年金などの福利厚生を確保し、またいずれはフルタイムに戻れる可能性を残すというような多様な正社員のあり方を提案することは女性だけを利するものではないということです。

いつ自分が病気になったり怪我をしたり、妊娠したり出産したりするか、あるいは育児や看護や介護の必要が出てくるか、誰にもわかりません。「ワーク」という経済的・社会的基盤を維持しつつ「ライフ」という自分を中心とした個人的な部分も守っていけるような社会になってほしいと思います。

雇用の問題(法律の問題?)でもあり、人の心(想像力とか共感というもの)の問題でもあります。

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