Archive for the 'アスベスト検診' Category

9月 17 2008

悪性中皮腫の患者数について

Published by under アスベスト検診

先週、この会で悪性中皮腫について語っていたところ、ふと悪性中皮腫による死亡者数を厚生労働省が発表しているけれども、どうやって集計したのだろうかという話になりました。以前紹介したように、厚生労働省は悪性中皮腫による都道府県別の死亡者数の詳細なデータを公開しています。

さすが厚生労働省、悪性中皮腫について詳しくデータを集め、アスベスト対策に役立てているのか?

各都道府県別に医療機関を通じて患者数などを把握しているのかも?

などと議論が盛り上がり、ホームページに問い合わせ先まで記載してくれていたので早速電話をしてみました。

厚生労働省 大臣官房統計情報部 人口動態・保健統計課というところでしたが、丁寧に教えてくれました。

単純に死亡届の死因が悪性中皮腫とされているものを集計したものだそうです。したがって患者数は把握していないとのことでした。残念です。

我々は悪性中皮腫の研究をしています。どういう医療機関に悪性中皮腫の患者さんが集まるのかを知りたいと考えています。

3 responses so far

5月 16 2008

国際緊急援助隊とアスベスト

Published by under アスベスト検診,救急

日本の国際緊急援助隊の援助チームの先発隊31人が15日の夜、北京国際空港に到着しました。中国側からは成都の北北東400キロの広元市青川県での救援活動を要請されたということで、援助隊は成都経由で16日の早朝に青川県に入り、救援作業に取りかかり、1週間活動する予定だそうです。後続部隊を含めると総勢は60人ほどになり、先発隊はファイバースコープなどを持参しており、後発隊が生命反応探査装置などを持参することになっています。その中には、新潟県中越地震で崖崩れの現場から坊やを救出した東京消防庁のハイパーレスキュー隊も含まれます。そのときのライブ映像を当時私は日本救急医学会総会に出席するために出張中の幕張のホテルでリアルタイムで見ていました。危険な環境の中、必死で救出活動を行う隊員の方々には本当に感動しました。

「病院に搬送するまでが勝負」というのは本当です。特にこういう災害時には。もちろん受け入れる医療者側も最善を尽くしますが、それ以前に運命が決まってしまうことも多いのです。

今回、国際緊急援助隊は地震発生と同時にただちに招集され、成田空港で待機していましたが、派遣要精がないということで一旦解散し、それぞれが原隊復帰していたのです。もう1日2日早く派遣できていたら、人命救助の可能性がより高かったであろうと思うと残念です。それでも国際緊急援助隊の方々には我々の代表として頑張っていただきたいと思います。御身に気をつけながら活動していただきたいと切に祈っています。

本日、建材用のアスベスト(石綿)でがんなどの健康被害を受けたとして、東京、埼玉、千葉の3都県の建設労働者と遺族ら178人が、国と建材メーカー46社に、被害者1人あたり3850万円、総額約66億円の損害賠償を求める「首都圏アスベスト集団訴訟」を、東京地裁に起こしました。石綿が様々な健康被害をもたらすというのは私が医学部の学生のときにも講義で聞いているので、少なくとも1990年代にはすでに医学的に常識になっていたのです。実際にアスベストが全面禁止になったのは2004年ですから、対策が後手にまわったことは否めない事実だと思います。アスベストは工業的に優れた性質を持ち、様々な用途に用いられていたためなかなか適当な代替品がなかったことも対応の遅れに影響しています。

ここで気になるのは、四川省地震で倒壊した建築物にアスベストが用いられていないのかということです。日本ほどアスベストの危険性が広く認識されているとは言いがたく、そもそも中国は生産量も埋蔵量も世界第三位なのです。青石綿の使用は禁止されましたが、温石綿は禁止されていません。

国際緊急援助隊の方々も専門家ですから防じんマスクを用意しておられると思います。しかし、アスベストは繊維が細かいので特に高いフィルター機能が要求されます。どの程度現地の建物にアスベストが使われているのかというデータがあるとは考えられません。耐震設計になっていないような建物が倒壊したと考えれば、石綿のような耐火材や断熱材は使われていないのかもしれませんが・・・

日本でも大規模な地震で建築物が倒壊した場合、アスベスト建材が含まれているかどうかが問題になるでしょう。建築・解体作業に携わる方々のみならず、我々の健康にも影響を及ぼす可能性があります。アスベスト訴訟の行方を見守り、行政の今後の対応をチェックしていきたいと思います。

No responses yet

5月 10 2008

中皮腫による死亡年次推移

Published by under アスベスト検診

平成19年9月7日の厚生労働省発表資料より、全国の中皮腫による死亡年次推移のグラフを作成してみました。


全国の中皮腫による死亡年次推移
中皮腫による死亡者数は漸増しています。石綿に曝露して30~50年後くらいで中皮腫を発症するといわれています。日本では1968年ごろから石綿の大量消費が始まり、93年ごろから激減しており、2004年に原則禁止されました。ということは、これからまだまだ中皮腫の患者数が増加する可能性があるということです。職業上の石綿の使用については厚生労働省、一般の人の石綿曝露については環境省が管轄になっています。

中皮腫といっていますが、最も多いのは胸膜中皮腫です。胸膜というのは、肺の表面、胸郭の内側を覆っている膜のことで、一層の中皮細胞という細胞でできています。胸膜中皮腫は主に壁側胸膜(胸郭の内側の膜)に発生する悪性腫瘍です。

5年生存率は手術症例のうち1割程度といわれており、たいへん厳しいものです。もちろん早期に発見できて手術できればもう少し生存率の向上が見込めますので早期発見にこしたことはありません。われわれは血液検査で中皮腫を早期診断できる検査法を開発中です。

No responses yet

5月 02 2008

中皮腫の発症前診断

Published by under アスベスト検診

今日、アスベスト検診についてディスカッションしている最中に何気なくインターネットで検索したら、YOMIURI ONLINEで中皮腫の発生前診断についての記事を見つけて驚きました。しかも偶然今日の記事。

中皮腫の原因としてアスベスト(石綿)曝露はよく知られています。アスベスト使用は法律で禁じられましたが、中皮腫はアスベストに曝露して30年くらいしてから発病するといわれているので、これから増加していくと考えられています。

今回の記事では、順天堂大チームが中皮腫の患者の血液中で濃度が高まる特殊なたんぱく質を発見し、発症前の診断に利用する検査法を開発したのだそうです。

実は我々も中皮腫の患者の血液中で濃度が高まる別のたんぱく質を発症前の診断に利用する検査法を開発中です。しかも、順天堂大チームと共同研究を行うべく連絡を取ったり、つい先日も研究室を訪問させていただいたところでしたから、驚きです。

京都府のアスベスト対策は

http://www.pref.kyoto.jp/taiki/astop.html

京都市のアスベスト対策はhttp://www.city.kyoto.jp/hokenfukushi/iryou/kohos/ishiwata.html

となっています。どちらもあまりアクティブな感じではありません。石綿曝露者が少ないのかもしれません。このへんのデータをわれわれも知りたいと思い、現在情報収集中です。

比較対象として東京はどうかと調べてみるとかなり頑張っています。http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kaizen/keikaku/asbestos/

を見ると、今年に入ってからも国の関係省庁や関係団体にアスベストに対する適切な対応を要請したりしています。さすが東京。

われわれも含めて京都ももっと自己主張したほうが良いのかもしれません。

One response so far