11月 13 2008

もうひとり「いらんこと言い」を発見

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阪南市立病院でせっかく招聘した医師がまたしても集団退職(8人!)の意向だそうです。今月26日の市長選で、給与引き下げを検討する可能性に言及した元副市長が、医師招聘を進めてきた現職を破り初当選し、医師が反発しました。

阪南市立病院は医師の大量退職で一時内科を休診するなど経営難に陥りました。市は医師確保のため、歩合給を導入するなどして、年収約1200万円の医師給与を約2000万円に引き上げた結果、医師確保が進み、今年9月からは内科診療も再開していました。

福山氏は当選後、歩合給は公立病院にはなじまないと見直しの可能性に言及したところ、医師の反発を招いたのです。

この市長さんも「いらんこと言い」ですね。この医師確保難の時代にせっかく招聘できた医師に逃げられるなんて。そしてたぶん新たな医師を確保することも困難になるでしょう。内科のない病院なんて病院として機能するのでしょうか?

兵庫県立柏原病院という病院があります。小児科の危機に際して地域の母親たちが「県立柏原病院の小児科を守る会」を作って活動し、やめようとしていた小児科医師の慰留に成功した上に医師の増員まで可能にしたのです。
この会の3つのスローガンのひとつは「お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう」です。

世の中には医者が夜中や土日にも働くのを当然と思っている人たちがいます。私も、手術の説明をするから家族を呼んでくださいというと、夫は20時以降にならないと仕事が終わらないから20時以降にしてほしい、とか、娘は土日しか休みではないから土日にしてくださいとか当たり前のように言われていました。

私の勤務時間が何時から何時までで休日がいつかなんてことには考えが及ばないのでしょう。急変や緊急手術であれば夜間でも休日でも面談させていただきますが・・・
(申し訳ありませんが私はそういう時間外のお約束は基本的にお断りさせていただいておりました。自分のコンディションを整えるのも自分の責任ですから。)

そういう中で、お医者さんに感謝の気持ちを伝える、というのは大きなファクターですね。しんどいな~疲れたな~というときに、「ありがとうございました」とか、「夜遅いのに大変ですね」などと言われると「いえいえ、仕事ですから」と気持ちに折り合いをつけやすいものです。

柏原病院では、頑張って小児科の立て直しには成功しましたが、それでもまだ各科で医師募集を続けています。特に内科の医師を急募していると聞いています。医師不足は深刻です。

柏原病院では旧態の公立病院のような一律な勤務形態の制約はなく、個々の勤務形態について相談に応じるということですから興味のあるドクターは応募してみてはいかがでしょうか。

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11月 12 2008

京都大学のイベントとしての11月祭

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京都大学において11月21,22,23,24日に11月祭という大学祭が開催されます。

今年のテーマは「単位より大切ななにかを求めて」なのだそうです。そのあまりの馬鹿さ加減にひっくり返りそうになりました。学生のすることに目くじらを立てるのは大人のすることではないという人もいるでしょうが、それでもあえて申し上げたいと思います。

「学生なんだから勉強しろ。単位を取れ。」

極論を言えば学生にとって勉強よりも大事なものはないです。授業そっちのけで大学祭の準備をすることが許されるとは思いませんし、少なくともそれをぬけぬけと公表し、恥ずかしいとも思わない感性を京都大学の一先輩として恥ずかしく思います。

「単位よりも大切ななにかを求めて」などというのは、中学生か高校生が「勉強よりも大切なものがある」と自己弁護するのと同様の青臭さです。

統一テーマ決定の経緯によると公募で集まったテーマの中から投票によって決定されたようですが、公募で集まってきたテーマから事務局がよいものを選べばよいのであって、わざわざ多数決で決める必要はないはずです。

勉強し、単位を取得するという学生の本分として核になる部分を持ちながら、さらに何かを求めるのが京都大学の学生としてあるべき姿です。もっと社会的な責任を果たすことを考えて行動すべきであり、その決意が現れるようなテーマを選択せよと敢えて苦言を呈しておきます。

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11月 11 2008

いらんこと言い

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政治家のあまりにも現場のドクターの心情を無視した発言を見つけましたのでひとこと。昨日のニュースから。

妊婦受け入れ拒否の問題で、病院間の言い分が異なる件に言及して、厚生労働大臣と経済産業大臣の話です。

舛添厚生労働大臣はコミュニケーションがうまくいかない現状を、IT技術を駆使して解決できないかと、二階経済産業大臣と急遽、会談しました。

「お医者さん同士のコミュニケーションがうまくいっていない。IT技術を活用した形で、両省で協力しながら国民のためになる仕事をしたい」(舛添要一厚労相)

「政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ。忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳にすぎない」(二階俊博経産相)

2人の大臣はIT技術者にアイデアを出してもらい、大学病院で実験を行うことで一致したとのことですが・・・

この二階経済産業大臣はこの瞬間すべての医師を敵に回すつもりで発言したとしか思えないKY(いわゆる空気が読めない)ですね。政治家のモラルを常日頃云々されるのでたまには他人のモラルを云々してみたかったのかもしれません。こういう人間が日本の政治を動かしている限り、われわれの生活が良くなるはずはありません。そもそも何故経済産業大臣がしゃしゃり出てくる必要があるのか全く理解できません。

人間は時として楽なほうへ流されやすいものなのに、この厳しいご時世にあえて産科に踏みとどまって奮闘しているドクターたちにどんな顔をしてこのようなことが言えるのでしょうか。私は科を決定するときに外科と産婦人科とで悩んだ人間ですので産科の先生の惨状が他人事には思えません。

確かにモラルも大事ですが、継続的に人間の精神力に頼らなければならないシステムは早晩崩壊します。人間はミスを犯す存在であり、トラブルから逃れようと本能的に行動するのはやむを得ないと認めたうえで、それでも問題なく機能するようなシステムを作ることが人間の知恵というものではないでしょうか。

二階氏のような人のことを京都では「いらんこと言い」と申します。
 

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11月 09 2008

タクシー全面禁煙化要望書提出

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昨日、京都府医師会、府薬剤師会、NPO法人「京都禁煙推進研究会」など5団体はタクシー車内の全面禁煙化を求める要望書を京都乗用自動車協会会長に提出しました。

以前より京都府医師会のメーリングリストなどではこの話で何度も盛り上がっていたのでようやく、といった感じですが、これを機会にぜひタクシーの運転手さんたちには禁煙にチャレンジしていただきたいと思います。

今日はわざわざ禁煙のタクシーを指定して呼んだのに、私が出て行くまでの間、運転手さんが車の外でたばこを吸いながら待っていたのには愕然としました。

定義上車内で吸わなければ禁煙車ということでOKなのかもしれませんが、こちらはわざわざ禁煙車両を指定しているので匂いすらかぎたくない人種であることは理解していただきたいと思いました。

運転手さん自身の健康も能動喫煙・受動喫煙によりむしばまれます。 肺癌、肺気腫、喘息などの患者さんの中にはタクシーの運転手さんが多くおられます。

筑紫哲也さんが最近肺癌で亡くなりましたが、ヘビースモーカーで知られていました。私は、声を出す職業の人にしてはプロ意識に欠けると前々より思っていました。自分は癌にならないと根拠なく考えていたと自分でも告白されていましたが、喫煙者はみなそのような気持ちなのでしょうか。

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11月 05 2008

学会・研究会の託児設備

最近、学会や研究会に託児所を設定しているところが増えてきました。
麻酔科、小児科の学会は女性のドクターの割合が多いので当然のように託児スペースを用意しています。
外科系の学会でも最近は増えてきました。
外科学会
消化器外科学会
乳癌学会
業者から保育士などのスタッフを派遣してもらって一時的な託児所を設けるのだと思います。

乳癌学会は外科医のみならず、病理医、形成外科医、放射線科医などの参加も多く、ドクター以外にも看護師などのコメディカルの参加も多いので需要は結構あるのではないかと思います。実際、昼休みに子どもを連れている人を見たことがあります。
来月の乳癌検診学会総会のHPを見ていると特に託児スペースについての言及がなかったので問い合わせてみました。今後検討はするけれども今年は設定する予定はないという返事でした。
来年1月の大腸癌研究会のHPを見ているとやはり託児スペースの有無について記載がなかったので事務局に問い合わせたところ、これまでは全くこういう問い合わせがなかったが業者と打ち合わせて設定することにしたというお返事でした。
大腸癌研究会より乳癌検診学会のほうが需要が多いような気がしますが・・・

ただ、子どもにとっては初めてのところで預けられるのがストレスになる場合もあるようです。

いずれにしても、「求めよ、さらば与えられん」でしょうか。学会に出席予定の子育て中の皆さん、託児スペースがない場合も是非要望を出してください。業者はノウハウやスタッフを持っています。
小さいうちからアカデミックな雰囲気に触れるのも悪くないかもしれません。

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11月 01 2008

乳児湿疹

赤ちゃんの頬に湿疹ができて赤くなることがあります。ほっぺが赤くなるだけでなく、ひどくなってかゆがってかきむしるとびらんになったり、浸出液が出てカピカピになるようなひどい状態になります。

生後2週間くらいから数ヶ月くらいまでの間はさまざまな原因により湿疹を生じやすいのですが、それらを総称して乳児湿疹と呼んでいます。

(1)乳児期の脂漏性湿疹

(2)乳児期のアトピー性皮膚炎

(3)接触性皮膚炎

(4)食物アレルギー

などがあります。原因が特定できれば対処のしようがありますが、原因がわからない場合、基本的にはステロイドの外用と抗ヒスタミン剤の内服などで対応することになります。

ただ、乳児の顔に強いステロイド剤を塗ったり長期間連用したりするのはよくありませんので、皮膚科のドクターと相談しながら様子を見ながら他の外用薬と交代で塗るなど工夫が必要です。赤ちゃんに塗る場合はキンダベートという一番弱いタイプのステロイド剤が処方されることが多いようです。ステロイドはこわいという固定概念にとらわれて、根拠がよくわからない民間療法にすがってしまうのは考えものです。

もちろん、赤ちゃんが顔を掻かないように気をつけてあげなければなりませんし、爪をこまめに切ったり必要に応じてミトンをはめたりすることも大事です。顔に触れるようなもの(赤ちゃんの服の襟元、よだれかけ、シーツ、枕代わりにしているタオル)などはすべりのよい布にしておいたほうがよいでしょう。抱っこする人は赤ちゃんが顔をこすりつけないようにし、身に着けるものも皮膚にひっかからないようなものを選びましょう。ざらざらの生地の服は避け、洗いざらしの綿の服などがよいと思います。

入浴時は、石鹸は刺激の少ないものにして(固形の純石鹸がよいようです)、よくあわ立ててやわやわと手で洗ってあげると刺激が少ないです。

ちなみに、以前アンチエイジング学会の講習会で、大人でも洗顔の際は石鹸をよくあわ立てて手で顔や体をやさしく洗うのがよいと聞きました。布などは使わないほうがよいそうです。顔などごしごしこすると摩擦による機械的刺激で色素沈着(シミ)などになるというお話でした。皮膚のバリア機能を壊さないようにするのが重要です。

最近、抗ヒスタミン剤も子どもに服用させるときは注意が必要だといわれています。特に、催眠性のある(眠くなるタイプ)抗ヒスタミン剤は脳への移行により学習能力や認知機能を低下させたり、痙攣を誘発する可能性もあります。なるべく催眠性の少ない薬剤を選ばなければなりません。

かゆがってかきむしって皮膚がぼろぼろになったり、そこから感染したり、かゆいあまりに熟睡できなかったりイライラしたりするのも発育によくないと思いますので、ひどいときは皮膚科か小児科のドクターに診ていただいて適切な処方をしてもらう必要があります。

これから寒くなって皮膚が乾燥すると老若男女を問わず皮膚のトラブルが出やすくなりますから保湿を心がけるようにしましょう。特に入浴直後が重要といわれております。

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10月 31 2008

外傷の湿潤療法

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外傷はまず「洗浄する」「消毒しない」「乾燥させない」

すりむき傷などの傷に対して以前は消毒をしてガーゼを当てるという処置が一般的でしたが、ガーゼは乾燥して傷にこびりつき、はがすときは痛いし、再度出血するようなこともあります。最近、外傷はまず水道水または生理食塩水でよく洗浄し、傷を乾燥させないような創傷被覆材を貼るという湿潤療法が一般的になりつつあります。

なぜ洗浄するのか

まず、傷が汚れていると細菌の温床になりますから、化膿するリスクが高まります。砂などが入ったままだと刺青のように黒く後々まで色が残る原因になります。水道水などの流水で物理的に汚れを洗い流し、細菌の絶対数を減らすというのがまずは重要なことです。

なぜ消毒をしないのか

消毒薬は確かに細菌にも作用しますが、ヒトの細胞にも作用します。細菌よりヒトの細胞の方が弱いので、傷を治そうとする細胞に大きなダメージを与えてしまうのです。一方、いくら消毒しても細菌数はゼロにはなりませんし、時間がたてばまた増えていきます。それよりは水で洗ってやれば、ヒトの細胞にあまりダメージを与えずに細菌数を限りなく減らすことができます。また、消毒よりは洗浄のほうが痛みもはるかに少ないのです。傷をぬらすと化膿するというのは日本だけの迷信のようです。もちろん汚染された水はいけませんが、日本の水道水はたいへん質がよいので細菌はほとんどゼロに近いと考えてよいでしょう。

なぜ乾燥させないのか

細胞が増えるためには水分や 栄養、成長因子のように細胞を刺激して成長を促すような物質が必要です。傷口が一見ジュクジュクとしてみえるのは、浸出液といってそういった水分や栄養、成長因子などを含んだ液体が組織から出てきているからです。ガーゼを貼って傷が乾いてしまったらこの大事な液体が細胞に作用することができませんから、細胞の増殖が妨げられ、傷の治りが遅くなります。このことは、ヒトの細胞培養をするときに乾燥させると死滅することでも明らかです。傷を乾燥させないために傷に貼るもの(創傷被覆材)として、医療用のもの、薬局などで市販されているものがいくつかあります。

創傷被覆財の種類

(1)薬局などで市販されているもの

  ニチバン:ケアリーヴ バイオパッド

  ジョンソン・エンド・ジョンソン:キズパワーパッド 

  などがありますが、私は使用したことがないので使い勝手などはよくわかりません。

(2)医療用のもの

  医療用のものは多種多様ですが、そうそう何種類も用意できるものでもありません。
  私の使い分けとしては、

  受傷当日など出血があるとき
  アルギン酸塩被覆材(カルトスタット:Convatecなど)。
  スライサーなどで指先を削ぐようにできた傷の止血にも使います。
  これらの上から透明のフィルムドレッシングを貼ります。

  浅めの皮膚欠損で浸出液が少ないとき
  ハイドロコロイド・ドレッシング材(デュオアクティブET:Convatecなど)。
  デュオアクティブのシリーズの薄いもので、色も目立ちません。
  指などの曲がったところにもなじんで貼りやすいのが便利です。

  深い傷で浸出液が多いとき
  ウレタンフォーム・ドレッシング材(ハイドロサイト:Smith & Nephewなど)。
  浸出液を吸収しながらも創に固着しない被覆材。
  浸出液が減って創が浅くなってきたら適宜デュオアクティブETなどに切り替えます。

(3)医薬品ではないもの
  食品用ラップを創の被覆に用いることがあります。
  しかし、これは目的外使用になるので医師の指導のもとに行うべきだと思います。
  褥創(とこずれ)の処置には威力を発揮します。

注意すべきこと 

どんな医薬品、治療法にも注意すべきことはあります。咬傷(ヒト、猫、犬にかまれた傷)、深い傷、何かに挟まれたなど圧力を受けた傷、すねの前面の傷は特に化膿しやすいので要注意です。一般に小さな子どもは大人より傷が化膿しやすいようです。 

創傷被覆材を長期間貼っていると、浸出液の刺激で周囲の皮膚がかぶれることがあるので1日1回はがして傷を洗って貼り替えることをおすすめします。

治った後は色素沈着しやすいので、露出部位であれば紫外線対策を怠らないようにしましょう。半年くらいは気をつけたほうがよいと思います。

上記内容については別冊PHP2007年11月号に 私のコラムが掲載されています。

なお、夏井 睦(なつい まこと)先生の新しい創傷治療というホームページにはさらに詳しい説明や症例提示がありますので参考にしてください。

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10月 30 2008

11月祭のイベント会議

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本日は11月祭のイベントの内容について会議を行いました。

まず、ミニレクチャーを2,3計画しています。

(1)医療崩壊について・・・これは今まさにホットな話ですね。

(2)医療における男女共同参画…なんじゃそりゃと思われるかもしれませんが、ひとつは女性医師支援問題、もうひとつはヒトが生まれてから死ぬまでにどのように医療とかかわっていくかという話で、特に「女性」に的を絞って話をしようかなという計画です。

また、医学部の学生が学生の視点でまとめた病気の話をする予定です。

ロールプレイングですが、これがかなり面白くなりそうな内容で、たとえば、

医師が患者に手術についての説明をしている場面

夜間の救急にきた○○の患者に対応する医師

代替医療(怪しげな健康食品など)を試したいという患者とそれに対応する医師

夜中に患者の受け入れ先を電話で懸命に探す医師と断る受け入れ先

などです。これらのロールプレイを通して医師と患者のギャップについて何らかの示唆が得られるのではないかと考えています。われわれがあまりにも日常になりすぎて見落としてしまっていること、患者側が全く想像しえないであろう医師の立場などを議論するまじめな企画です。

そのほか、蘇生用人形で蘇生の練習をしたり、AEDトレーニングキットでAEDの扱いを学んだり、外科医の基本「糸結び」大会をしたりと体を動かす企画もあります。

AEDは医師でも触ったことがない人が多いと思います。私も実は見たことはあっても触ったことがありません。一度触れておけばいざという時にも怖くないと思います。

是非皆さんお越しください。日時はここを見てください。

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10月 25 2008

妊婦の救急疾患

東京都内の妊婦(36)が都立墨東病院(墨田区)など7カ所の医療機関に診療を断られた後、最終的に救急搬送された墨東病院で赤ちゃんを出産後、脳内出血の手術を受け、3日後に死亡していたという気の毒なニュースが問題になっています。

お亡くなりになった方のご冥福をお祈りいたします。さぞご無念であったことと思います。

その上で、の話です。

舛添厚生労働大臣がわざわざ墨東病院を視察したとか、石原東京都知事とバトルをしているとか、そんなことまで話題になっています。

墨東病院は、緊急対応を必要とする妊婦や新生児を受け入れる都が指定した医療機関です。当直に当たる産科医師の1人が退職し、土日の当直医は一人体制になってしまい、妊婦が搬送された当日は研修医1人が当直していました。

研修医とは言うものの、後期研修医で4年目のドクターだそうです。レジデントといってよいでしょう。私が4年目というとまあ外科当直を一人でこなしていました。もちろん手術のときは指導医の先生を呼び出して一緒に手術をしていました。脳内出血の妊婦という困難な症例を当直のドクターが一人で対応できないのは当然だと思います。責めるのは気の毒です。

また、脳内出血の妊婦に緊急帝王切開および血腫除去術を行おうとすると、

産婦人科医2名

小児科医

脳外科医2名

麻酔科医

4つの科6名の医師が必要になる可能性があります。さらに、NICU(生まれてきた赤ちゃんも状態によっては新生児集中治療室に入る可能性が高いです)に空きベットがあり、手術室がスタンバイOKであり(他に緊急手術などをしている最中には受け入れは困難)ICU(緊急帝王切開および開頭術の術後のお母さんは集中治療室で管理する可能性が高いと考えられます)にも空床がなければなりません。

結構条件は厳しいです。産科だけの問題ではありません。産科の先生が受け入れようと思ってもすぐに体勢を整えられない可能性があります。脳外科のドクターが必ず当直している病院などほとんどありませんし、麻酔科医も当直ではなくオンコールで対応しているところもあります。

墨東病院で産科の当直を毎日2人体制にするとなれば(常勤医は4人なのだそうです)、ドクターの負担はさらに増え、今回の出来事(事故とは呼びたくありません)で大いに傷つき精神的にストレスを受けたであろうドクターが今後の診療に耐えていけるのか心配です。また退職者が出るのではないかと危惧されます。

舛添さんと石原さんのバトルはどうなるでしょうか。私に言わせればどっちもどっちです。国の責任とすれば医師不足に対する無策、都の責任とすれば退職した産科医の補充をしないまま「総合周産期母子医療センター」なるものを続けさせたこと、でしょうか。

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10月 24 2008

女性医師支援

医師不足が問題化して医療崩壊も進行しつつある昨今ですが、女性医師をもっと現場で活用しよう!という意見が出てきました。京大病院では女性医師支援なるものに特に取り組んでいないなあと以前から感じていました。 

先月何気なく京都大学女性研究者支援センターのホームページを眺めていると、「京都大学における男女共同参画に資する調査研究」の企画を募集していることにづきました。この企画に乗っかって調査をするとやりやすいかもしれない!と急ぎ企画書を作成して応募したところ、このたび採用が決定し、昨日会議に出席してきました。予算もつくことになりました。

テーマは「京都大学医学部附属病院において期待される女性医師支援」です。

本来私は逆差別が嫌いなので支援されなければならない立場であることには違和感を感じます。しかしながら、支援なしには物理的に仕事を続けていけないのですから仕方ありません。一方で、女性医師支援として考えられる対策として、

保育室の整備(病児保育・学童保育を含む)

勤務体制の多様化(フレックス制・時短・当直免除など)

産休・育児休暇をとりやすい制度・雰囲気作り

育児休暇からの復帰時のトレーニング身分の保証

復帰後の保育時間の確保(授乳、健診、予防接種などのための保育休暇)

周囲のドクターの意識改革勤務地の配慮(配偶者の勤務先との調整)

などが考えられると思うのですが、これらの体制を整えることは女性医師のみならず男性医師の待遇を改善することにつながると思います。例えば、医師は知識や技術を常に磨いていかなければならないので育児休暇からの復帰時のトレーニングなどは特に重要だと思います。長期間のブランクの後のトレーニング体制を整備することは、研究などで留学から帰国した医師や、大学院などで長らく基礎研究を行った後に臨床に復帰する医師の再訓練の場にもなりえます。

京大病院には女性医師支援がないと申し上げましたが、私が知らないだけで何かしらあるのかもしれません。しかし、信州大学和歌山県立医科大学のように支援プログラムがきっちり整備されているわけではありません。

無いものは作ってみようホトトギス (???)

ではありませんが、どういうものを作るかを考えるための下調べとして今回の調査を位置づけています。時間的・経済的に効率よい支援体制ができるといいなあと考えています。

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